南陽市、川西町に続き今回は3回目の講演会となるが、この2年間で、県内各地13回に及ぶEMインストラクター養成講座が開催された。この講座は1週間に1度、連続5回実施され、3回以上の出席でEMインストラクターに認定される。長井市、南陽市、東根市、天童市、山形市、米沢市、上山市、白鷹町、飯豊町、川西町の7市3町の住民810人が受講し、そのうち700人に認定書が授与された。また、講座終了後1年以内に勉強会を開催。フォローアップとともに実践活動を精力的に行っている。そのような地道な活動もあって、今回の講演会は会場に入りきれないほどの来場者があった。
大河原川西町住民生活課主査発表要旨
川西町は、山形県南部の置賜地方のほぼ中心に位置する人口2万人弱の町。平成17年に、悪臭の制御や生ごみの堆肥化などにEMを活用することを挙げた「川西町環境基本計画」を制定。翌年には、EMインストラクター養成講座で学んだ職員が、環境ワークショップを町内7地区の5地区で行った。同年にEM活用の生ごみ堆肥化実証実験事業を実施。平成19年には、市民団体「エコかわにし」が設立され、町民が講師となり各団体や地域にEMの出前講座が開催された。同年、町民が主体となって比嘉教授環境講演会を実施し、EMの啓発を促した。
現在、同町で実施していることは、
②世界でも珍しいダリヤ園の水路にEM活性液を平成20年6~9月中旬まで、10日に1度500リットルを12回計6トン投入。EM団子は、6~8月まで3回、約7,000個を入れ込む。平均40人の町民が参加1回2000個をつくった。その結果、ダリア園の作業員が、水路のヌメリや悪臭が減り、キレイになったと証言している。
③町内にある養豚の悪臭対策にも好結果
今後は、家庭、事業所、公共施設での効果を検証していきたいとのことで、行政はあくまでオブザーバーの立場としながらも、町としての正確な情報収集と行動力が際立った事例発表となった。
最後に行われた講演で比嘉教授は、「世界的な金融危機は、経済、効率、他人に責任を転嫁する”もろい世界”から、思いやり、健康、自給自足、自己責任でつくる”磐石な世界”を蘇らせための良い機会ととらえたらどうか」と問いかけ、参加者の拍手を浴びた。そのための手段となるEMについての丁寧な説明と、スライドを用いて世界の事例を紹介。参加者は異口同音に「家に帰ったらすぐに実践してみたい」と語り、その明るい表情が印象的だった。
翌日には、比嘉教授が、数か月のEM活用で環境が一変した東根市・石山功悦さんの「光陽ピックフャーム」と、「エコ・いではの会」(齋藤良代表)が池浄化に取り組んだ山形市鳥海月山両所宮を視察。鳥海月山両所宮では底まで見えるほどに水質改善がされた様子を確認。悪臭も消え、氏子たちから感謝されているという報告に目を細めた。
また、比嘉教授は上山市にも赴き、硫黄による公害問題を抱える蔵王川の浄化に取り組む「かみやまEM交歓会」(齋藤貢代表)と意見交換し、YTV(山形テレビ)のインタビュー取材に応じた。さらにFM山形の取材も受けラジオに生出演した。
なお、来年の講演会は「善循環の輪山形大会」として、7月11日長井市民会館で行われる予定。