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さらなる活動への原動力に
「四国EMフェスタ2008in土佐」開催


今年で9回目の開催となる「四国EMフェスタ」
四国4県を持ち回りで年に1回開催されている「四国EMフェスタ」(主催:NPO法人黒潮蘇生交流会)が10月12日、高知県香美市の高知工科大学講堂で行われた。幕末に新しい国を拓いた、坂本龍馬とジョン万次郎の生まれ故郷土佐。この地でEMを活用して、平成の世に新しい時代を築こうと約400人が集った。

今回は、高知県内のEM実践者たちが、環境浄化・農業2分野での事例を披露。また、環境学習ネットワーク(ELネット)代表の比嘉節子さんが、全国の小中学校で実施されているEM環境学習の取り組み状況を報告。最後は、比嘉照夫琉球大学名誉教授が、環境・農業・医療の多岐にわたる分野で活用されているEMの最新情報を盛り込んだ講演会を行った。

【環境浄化分野−発表5例】


しゃくなげ荘では、EMボカシやEM活性液、EM石けんづくりの他、EMを活用した野菜栽培も行っている
●事業生ごみを毎日回収し、優良肥料に
知的障害者更生施設しゃくなげ荘 真鍋朋三氏

しゃくなげ荘では、利用者と職員が地域の病院やスーパーなど20か所の生ごみを年間140~200トンも回収し、県リサイクル商品に認定されるほどの良質な堆肥を製造。行政の広報協力もあり、堆肥はつくる毎に完売となる。施設のEM担当者真鍋さんは、「回収先からは、毎日回収するので腐敗することなく喜ばれている。利用者たちが生き生きして働ける場をつくりたい」と話した。

●EM活用し町民主体に環境改善活動
こどもエコクラブ・エコ応援団婦人部世話役代表 山脇幸一氏

「わんわんトイレBOX」でごみを資源に

いの町中山地区(約200世帯)では、町民が「こどもエコクラブ(30人)」とその活動を支える「エコ応援団婦人部(20人)」を結成。犬の散歩道に生ごみ処理容器を置き、糞を入れてEMボカシで処理する「わんわんトイレBOX」や、各家庭で出る花木の残渣や雑草などを入れる「環境BOX」を設置。それらを堆肥化し環境農園で使用する。その他にも町民参加の桜のオーナー制やアルミ缶回収など工夫を凝らして多彩な活動を展開している。

●官民協働で水質浄化活動 宇佐町環境衛生推進協議会 山本幸一郎氏


貯水池にEM活性液を投入
漁師町の宇佐町でのEM活用のきっかけは、行政が地区の貯水池(360坪)の悪臭対策に、平成10年からEM活性液投入事業を実施したこと。以後、3年間の取り組みで地域住民も協力し、悪臭が軽減し蒲や葦も生え白鷲も舞い降りるほどになった。その後もEM事業を水産課、生活環境課が引き継ぎ、町民も町内会連合会と水産加工業協同組合で宇佐町環境衛生協議会をつくり、官民が協力して、水産加工排水や生活雑排水が流れる河川浄化やプール清掃などを展開している。

●漁協女性部が取り組む環境浄化 高知県漁協佐賀町統括支所 明神里寿氏

排水路が浄化したことでシジミなども見られるようになった

黒潮町佐賀地区でのEM活用のきっかけは、行政の取り組みだった。平成15年に町がEM培養施設を設置。漁協女性部が運営を委託され、排水路へのEM活性液投入や、各家庭へのEM利用を広報している。地域の小中学校のプール清掃や水産加工会社の排水処理、周辺地域の漁協女性部などでもEM活用の輪が広がっている。明神さんは、「漁から帰って、着ていたカッパをEM活性液に浸けて洗うと、独特のニオイが消える」と漁師町ならではの活用法を披露した。

 

 

●EMを活用したプール清掃が全国展開
環境学習ネットワーク 比嘉節子氏


EMプール清掃を実践している学校数   ※+拡大
比嘉さんが、プール清掃に活用している学校が全国で980校(平成20年9月現在)になったことを報告。「今年度全国の小中学校のプールから河川や海に流れ込んだEM処理された水の量は、約37万トンで東京ドームの1/3くらい」「プール汚泥の悪臭がなく、作業も安全。環境学習の効果もあり、清掃時間の大幅な短縮ができる。コストも従来の清掃法より2~3万円くらい削減できる」とEMプール清掃のメリットを説明し、さらなる普及を訴えた。また、今年から来年にかけてELネットでは、学校内で使われている塩素薬剤や合成洗剤をEMやEM石けんに置き換える活動の強化のため、全国各地の実践事例を調査し、リーフレット等にして情報提供していく予定。

 

【農業分野−発表4例】

●有機農業が地球を救う 有機のがっこう土佐自然塾 山下一穂氏


山下さんの野菜はどれも虫食いがなく立派なものばかり
本サイトでおなじみの山下さんが、農水省が示す農地土壌が有する炭素貯留機能などの5つの公益的機能について紹介。その上で、慣行農業から有機農業に転換することで、土壌からの一酸化二窒素やメタンの発生を抑えることができると説明。「農水省はポスト京都議定書に向けて、二酸化炭素の吸収源に農地土壌を加えようとしている。有機農業が地球温暖化を食い止める有効な手段の1つであることが分かったので、声を大にして伝えていきたい。日々の生活の中で体に良いもの、美味しいものを求めていけば、環境保全、有機農業を進めていくしかない。それが子どもたちの教育にもなっていく」と力強く語った。

●EMを15年活用し良質の牛乳と堆肥供給 岡崎牧場 鹿島利三郎氏


牛糞からつくる堆肥も周辺農家から好評
岡崎牧場では、山地酪農とEM技術の融合により、牛のストレスを軽減させ、ニオイ対策にも成功。糞をEM処理して堆肥にしている。また、県で唯一、社団法人中央酪農会議が認定する「酪農教育ファーム」(全国に200か所)の認証を持ち、地域住民を積極的に受け入れている。今年には、堆肥循環や自家製ソフトクリームの製造販売などが評価され、県が地産地消推進のために設けている「おいしい風土こうち大賞」を受賞した。代表の鹿島さんは、「自然循環のリサイクルをつくり、さらに開かれた牧場をめざしたい」と話した。

●薬剤師が挑むEM抗酸化力米づくり 薬剤師 下元大助氏

健康に寄与できる米づくりをめざす

薬剤師である下元さんは、アトピーなど現代病に対して薬剤の限界を実感し、「これからの子どもたちには食べ物こそ大事」と無農薬水稲栽培を始めた。米づくりにおいて①土の浄化、②有機物多投の見直し、③抗酸化力をどう引き出すかをポイントに土づくりを徹底して行い、5年目で反当たり約8俵を収穫できるようになった。EM活性液散布の際に再度糖蜜を入れることで、田全体をEM発酵槽に仕立てることで抑草を可能にしている。

 

 


EM活用の冬水田んぼの山田錦
●水田環境にあわせた水稲栽培 NPO法人黒潮蘇生交流会 山下修氏

山下さんは、米づくり11年目。今まで米ヌカ除草やすみマルチ、アイガモ農法など様々な除草対策に取り組む中で、EMを活用した冬水田んぼや布マルチでの栽培を行うようになった。「水があれば冬水田んぼが有効。その際には秋処理で堆肥や耕起することが大切」と話した。無農薬EM栽培の山田錦で日本酒をつくっており、米に付加価値を付けた販売にも力を入れている。

 

 

 

 


ユーモアを交えた比嘉教授の講演に観客も聞き入った
【講評・講演】 名桜大学教授・琉球大学名誉教授 比嘉照夫氏

比嘉教授が、各事例を1つずつ丁寧に講評し、「EMの場づくりをしていくことが大切。日常生活の中で、どのように活用していくか、自分の都合ではなくEMの特性に合わせたやり方でやってほしい」と訴えた。その後講演し、「技術革新をするには、今までの発想ではいけない。究極的には農業は種をまいて収穫するだけで良い。草を抑える技術も草を堆肥にする技術もEMにはある」と持論を展開。それを裏付ける成果が、年間6tもの収量をあげる自身のバナナ園(10a)で示されていることを紹介。観客からは大きな拍手がわき起こった。

なお、次回(2009年)は香川県で開催される。

(2008年11月5日)

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