野呂さんは、1994年にチェルノブイリにある50m2の土地(線量2マイクロシーベルト)に比嘉照夫教授の助言で、5kgのEMボカシと4リットルのEM希釈液をまいたところ、放射線量が4分の3まで下がったことからEMの可能性を確信した1人です。「これは大変なことではないか。しかし、ただまけばいいというものではないと考え、比嘉教授とベラルーシ科学アカデミー放射線生物学研究所(以下、科学アカデミー)との共同研究をお願いした」とEMと関わるきっかけを話しました。
また、あかね台眼科脳神経外科クリニックの杉本一朗医師は、放射線が環境と人間の遺伝子に与えた影響と、人々の健康の改善について研究していた科学アカデミーのエフゲニー・コノプルヤ教授のEMの「抗酸化力」に注目した研究結果を判りやすく解説し、「予防原則を徹底させること」を訴えました。
日本では、低線量被曝の研究データは少なく、政府もただちに健康被害はないという方針を崩していません。しかし、チェルノブイリ原発事故後から、数年たった頃から、チェルノブイリエイズと呼ばれる症状が、子どもたちに現れてきました。チェルノブイリの子どもたちの健康状態を実際に見てきた野呂さんは、限りなく汚染されていない食品を与えることは大人の責任だとした上で、ビタミンやミネラル、アミノ酸、ことに玄米や発酵食品の摂取が、これからの子どもたちの将来の健康に関わると強調しました。
また、被災した人、EMを活用している人、農業関係者と3つのグループに分かれて話し合いがもたれました。中でも、福島のお母さんたちからは、「まず、食品にベクレル数値を出すことを義務付けてほしい」「EM野菜が手に入る流通システムをつくってほしい」「学校や仕事場でのマスク着用を義務付けてほしい」「学校行事、特に運動会は地べたに座る機会が多いのでリスクが高まる。学校の先生の意識改善も必要」「給食の安全を早急に確立してほしい」など、子どもの健康を心配する声がたくさん出されていました。これらの問題に関する答えは、東北EMサミットから3か月たった今でも、解消されていません。
福島第1原発はまだ収束していないこと、土壌から地下水、海水へと放射能汚染は拡大していくこと、放射性セシウムの基準が下がったとはいえ、安全とは言えないことなどを確認した女性参加者は、「こんなにも大変なことになっているとは思わなかった。EMがお役にたつならば、若いお母さんに活性液のつくり方や、使い方を教えてあげたい」「幼稚園や保育園の砂場などにEMをまいてあげたい」などと子どたちを育てるお母さんたちの心配を少しでも軽くしてあげたいという気持ちが伝わってきました。
最後に福島市の梨農家・大内有子さんの「事故のあと、すぐに正確な情報が伝えられていたら、福島の子どもたちの被曝は避けられた。しかし、EMを使って農地や校庭を除染することで、希望を見出している」という、ニューヨークで行われる「第56回国連婦人の地位委員会」で女性農民代表として発表されるメッセージが読み上げられると、会場からはすすり泣きが聞かれました(同委員会は、2月に行われ、大内さんは事情があって不参加でしたが、このメッセージは代読され、世界に発信されました)。
すでにEMを知っている人たちが、放射能の影響を正しく知り、福島に暮らす人々の苦しみを共にしながら、正確なEM情報を伝えていくことが、これからますます大切になっていくと思われます。なお、第2回EMサミットは、7月8日東京・池袋の東京総合美容学校ホールで開催されることが決まっています。
「チェルノブイリへのかけはし」では、1992〜2010年に来日した子どもたちにEM飲料を飲むよう指導してきた。比嘉教授には報告していなかったが、毎年、子どもたちは保養の前と後に放射能の排出力の調査を行っていた。同じような効果が認められて、さして報告することもないかと思っていたが、昨年、ベラルーシを訪問した際に、ベルラード研究所から、2010年に他国に保養に出た子どもたちの体内放射能量の排出の比較のデータが出てきた。ほとんどの国の保養では40%〜55%の排出量に比べて、「チェルノブイリへのかけはし」が子どもたちを受けいれた日本だけが、突出して80%近い排出力だった。2002年の研究のときは、EM飲料を飲んだ子と飲まない子の比較調査だったが、今回は、予期せず、国ごとの排出量のデータで、その差に正直驚いた。食べ物は他国同様、果物や野菜など、ビタミンやミネラルを豊富に含んだものを提供していたので、大きな違いはEMと考えられる。
チェルノブイリ事故から26年が経過して、現在では汚染されたものを食べないようにという教育や政府の指導が行き届き、子どもたちの体内の放射能値は下がっている。しかし、体内の蓄積量が約20〜30ベクレル/kgぐらいになってくると、逆に放射能物質が体から出ていきにくくなる。こうした経験を参考にして、子どもの健康を守ってほしい。
また、ベラルーシでは、年間5ミリシーベルトから住民を強制的に移住させた。今の日本の基準だと年間20〜50ミリシーベルトまでは土を剥いで除染して住まわす計画だが、非常に心配している。また、子どもの場合20〜50ベクレル/kgあれば、危険ゾーンで保養に出した方がいいと言われている。それを放置して50ベクレル/sを超えて値が上がってしまうと、病名がついてしまう。病名がついてしまうと、保養では治せなくなってくる。いかに予防するかが、火急の問題だ。ちなみに1年間にさらされてよいとされる人工放射線の限度の年間1ミリシーベルトとは、1時間あたり0.114マイクロシーベルトで、これ以上の放射線量では、子どもだけではなく、大人も危険だ。
コノプルヤ教授は、「抗酸化」というキーワードを軸にEMを用いた様々な植物、動物実験を行っている。
燕麦と大豆を使った発芽実験では、EMをまけば発芽力も上がり、根も10cmほど長くなった。植物が被曝するとクロロフィル光合成量が下がることが一般的だが、EM使用群では下がらずに光合成能力があがったと考えられる。基本的に生命体が活動するときにはエネルギーを使うが、それがATPと呼ばれるアデノシン三リン酸。それをATPからADP(アデノシン二リン酸)に分解するときに我々はリン酸化エネルギーというものを使っている。それは植物も同じで、細胞の膜レベルで必要なものを細胞の中に取り入れて、不要になったものを細胞の外に出すときに使われている。このエネルギーを使わないといわゆる代謝が進まない。EMを植物に与えると、この酵素が活性化することで、ATPの供給もスムーズに行われ、ATPからADPに分解する働きも進んだ。
また、放射線を浴びると、人間だけでなく生命体すべて同じ現象として、活性酸素が出る。その活性酸素を消すための酵素の1つがペルオキシダーゼで、普通は被曝すると活性が落ちるが、植物にEMを使うと活性が上がり、活性酸素が消えていくとコノプルヤ教授は報告している。
日本の医学ではあまり言われていないが、コノプルヤ教授をはじめ、旧ソ連の研究では脾臓が重要な役割を持つ臓器として注目していた。脾臓は、大人にとっては血液をろ過する臓器であり、子どもにとっては免疫細胞を熟成させるような機能をもつ。被曝すると脾臓が小さくなるが(=免疫機能落ちる)、被曝させた動物にEMを使うと、脾臓が小さくなるのが止まり、重量が増えるている。同じ動物実験のデータには精巣にも影響あることが出ており、コノプルヤ教授は、人間が放射能がある地べたに座ると生殖機能に直に影響が出るからけっして近づけてはならないと警告している。
結論的にいうと、消化をするのも、成長を促すのも、DNAの修復も、活性酸素を消すのもすべて酵素の働きだが、1日につくれる酵素の量は決まっていて、それを各活動に自動的に振り分けているので、被曝してしまうと、DNA修復や活性酸素を消す方に活動をとられてしまい、成長に促せなくなる。EMを使った動物実験のデータでは、体重が増えているということで、成長にも促せていることがわかり、人間にも効果があると考えられる。
被曝は酸化であり、人間も酸化すれば当然環境も酸化すると、コノプルヤ教授は抗酸化力の重要性を力説している。チェルノブイリ事故当時、アメリカで鳥の繁殖が減少した(福島でもすでにニュースになっている)。まず鳥の餌となる虫が減少し、その影響で鳥も減少したと見られるとのことだった。このように、小さな生態系の変化から始まって、時間をかけて、人間に影響すると考えられる。だからこそ今すぐに対応対処していかなければならない。