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第17回全国EM技術交流会 北海道大会in札幌
未来へ生きる生命のために 美しく豊かな地球を!


開会挨拶をする東出輝一大会長(新篠津村村長)

道内に於けるEM活用情報を求めて全国各地から参集した人々で埋まる大ホール
第17回全国EM技術交流会・北海道大会in札幌が11月3日、札幌コンベンションセンター大ホールで開催されました。あいにくの曇空で午後からは雨がぱらつく天候でしたが、道内はもとより全国各地からの参加者1000人以上が大ホールを埋めました。この大会は、EM技術の研鑽と普及を目的に平成8年より毎年全国各地を会場に開催され、昨年は2月に福井県越前町で行われました。

今大会は北海道in札幌実行委員会(東出輝一大会長)の主催で、北海道を始め札幌市、札幌市教育委員会、苫小牧市、江別市など5市3町1村、北海道新聞社やテレビ局5社、㈱EM研究所、全国EM普及協会、EMボカシネットワーク北海道支部、公益財団法人自然農法国際研究開発センターなどが後援しました。大会長の東出氏は新篠津村村長で、EM技術を取り入れたクリーン農業の先進地としての同村の豊富な事例が村職員によって発表されました。

食糧供給地として


講評と講演を通して大会関係者らの労をねぎらった比嘉教授

障害者施設からの参加も多かった展示・物販ブースは、EM関連商品や農産物を求める人々でにぎわった

チェルノブイリへのかけはし代表の野呂美加さん(北見市在住)から比嘉教授へ、EMボ・ネット高井賢二支部長から比嘉節子さん(EMボ・ネット名誉会長)へそれぞれ感謝の花束が贈呈された

320人が参加した懇親会。道内から用立てられたEM食材が札幌グランドホテル直営レストラン調理長によって調理された
苫小牧市にあるNPO法人手をつなぐ育成会「ワークセンターるーぷ・しんとみ」のメンバー6人による心太鼓の響きと共に開幕し、細川義治実行委員長(NPO法人北海道EM普及協会理事長)に続いて東出大会長が「生産者と消費者の関係を結ぶのは、食の安全と安心にプラス信頼を構築することが大事で、今日は各分野の取り組みを通してその関係を確認する日になります」と挨拶しました。

来賓挨拶では北海道知事代理で農政部食の安全推進局の土屋俊亮局長が、「北海道は我が国の食糧供給地として生産性の高い農業が営まれています。有機資材による土づくりは環境への負荷が少なく、クリーン農業は今日の北海道農業のスタンダードになりつつある」と述べました。ツルネン・マルティ参議院議員は、6年前に超党派で議員立法化した有機農業推進法に触れて、「基本方針の見直しの時期に来ています。有機農業推進に今後も継続して取り組んでいきたい」と語りました。

未来を復興するEM技術

続いて、行政、農業、酪農、教育、福祉の分野から5人が事例発表を行いました(要旨別掲)。最後に講評・講演を行った比嘉照夫教授は、「東日本大震災や放射能汚染問題などで明るい希望を持てない未来、壊れている未来を今から意識して復興しなければならない。世界中でEM散布するイメージをみんなで持とう!」と呼びかける一方、「放射能の除染では、EMを活用して低減化するモデルを福島でつくっている。(失われつつある)未来を今から復興するという自覚を持って各分野でチャレンジして欲しい」と結びました。

また、比嘉教授は開会にあたっての挨拶の際に今回作成された150余ページから成る事例集に触れて、「豊富な事例と実績を納めた最高の事例集になりました」と讃えました。さらに、大会会長に東出新篠津村村長を迎えたことにも触れ、「新篠津村は平成6年からEM技術を取り入れた未来に向けた農業に取り組んでいる。このように行政と民の協力体制が維持されているのは、北海道EM普及協会の民主的な運営によるものです」と同関係者の労をねぎらいました。

なお、次回の同大会は平成25年に宮城県七ヶ浜町で開催される予定です。七ヶ浜町は、東日本大震災で津波により町の面積の約4分の1が浸水しましたが、復旧・復興に行政主導でEM技術が活用されていることが知られています。大会終了後行われた懇親会で相沢孝弘東北EM普及協会会長は、「EM活用で甦った町で皆さんをお待ちしています」と力強く宣言しました。

※第17回全国EM技術交流会北海道大会in札幌の優良事例を掲載した事例集(1000円)の問い合わせ先は、北海道EM普及協会(Tel:011−898−9898)。

事例発表要旨

新篠津村におけるEMの取り組み
堀下弘樹さん 石狩郡新篠津村(村役場 産業建設課副主幹)

村にEMを導入した当初から担当する堀下さん

生産者の強い味方。土壌診断を行う農業振興センター
豊かな水に恵まれた新篠津村の生産農家は約270戸で、経営面積は1戸当たり19haと大規模経営を誇っている。都市と農村の交流をめざしてクリーン農業を進める中で、平成6年、「クリーン農業推進センター」(現農業振興センター)を設立。土壌・作物分析機械と実験室を設備、EMボカシ製造機の導入などで有機栽培と特別栽培を推進する。現在、有機JAS認証農産物21戸、特別栽培農産物延べ48件、北のクリーン農産物(北海道認証)延べ117件、エコファーマー130戸(全農家数の半数)になり、この数字は全国的に見て非常に高い。「EMはローコストで効率がよいので、導入後認証を受ける農家が増えた。ジャガイモの大敵“そうか病”の特効薬にもなっている」と堀下さん。

比嘉教授講評
新篠津村はEM技術を活用したシステムはすでに完成しているが、村丸ごとEM散布すればシステム的にさらなるグレードアップが図れる。


日本最寒の地に新規就農
宮原光恵さん 幌加内町

平成22年、首相官邸で行われた「食と農」の意見交換に全国から選ばれた10人の1人として出席、当時の鳩山首相から質問攻めにあう
日本女性としてただ1人の大型野生動物の写真家としてアラスカに滞在中にご主人(克弘さん)と出会い、平成9年に狩猟採集をベースにした暮らしを求めて幌加内町朱鞠内で就農。酷寒の地で、EM技術を取り入れた有機農業に挑戦している。約50haにそば、カボチャ、馬鈴薯、トマト、ミニトマト、タマネギの5品目を栽培、日本一厳しい気温変化に翻弄されながら、「ようやく最低限の安定収入が確保され、農業で生活できるようになった。精神的にEMに守ってもらっている」と宮原さん。

比嘉教授講評
チャレンジすることでEMに出会って、自然の良さプラス自分たちの理想をプラスしていて行く気概がある。発想が豊かだから、いかにしてEMを使うかを知り、パターン化しない農業を実現している。


EM活性液使用で好成績
小泉恒男さん 上川郡標茶町(小泉牧場 経営者)

日本農業大賞など多くの賞を受賞している小泉さん
79頭の成牛と72頭の育成牛を飼育する。平成18年にEM導入。自動添加給水で飼育牛すべてのウォターカップにEMを給与。これによりルーメン(4つある牛の胃袋の第1胃のこと)が健康になり、乳牛の疾病が減少し、生産効率が高まった。導入4年目には1頭当たり乳量が乳検成績で1万kg超えた。平成20年以降は販売乳量で750トン以上の水準をコンスタントに達成できるようになり、経営の効率化、収益性にも大きく貢献している。「思った以上の効果に満足しています」と小泉さん。

年間生乳生産量と乳検成績の推移
年度生乳生産量
t/年
1頭当り
乳量 s
乳脂肪%乳蛋白%SNF%乳飼比%飼料効果
平成17年64008,9554.053.238.83222.8
平成18年72309,0624.203.258.85222.9
平成19年70309,2964.213.248.79242.9
平成20年75709,0834.303.238.77272.9
平成21年76909,8324.313.268.80222.9
平成22年76010,1614.353.298.86213.0
参考数値
平成22年標茶平均7,9763.983.278.70 
平成22年釧路平均8,3664.043.308.76 

比嘉教授講評
乳牛1頭から1万kgの乳量は夢のまた夢のことなのに実現している小泉さんに脱帽です。EMを使ったシンプル酪農こそが究極な酪農経営の姿と言えます。規模を拡大して米国と同じ農業をやろうとすると苦しいが、いろいろな機能を持った農家はTPPの対象にならない。牛の出すメタンガスは全人類が出すメタンガスより多い。EMを与えると75%減少することがドイツの研究所の研究で分かった。小泉さんには限界突破にチャレンジして欲しい。


子どもたちとEM活用
高野雅樹さん 旭川市(旭川EccM西神楽クラブ顧問)

校長時代の経験を生かして地域の子どもたちとEM活動を楽しむ高野さん
奥さんの”化学物質過敏症”がEMで改善されたことをきっかけに、「衣・食・住・環境が健全に保つためにEMは大きな力を持っている。このすばらしいEMを子どもたちのために活用しよう」と学校長として勤務していた旭川市立西神楽小学校でトイレ清掃や校内の清掃にEM活性液を取り入れたのをはじめ、EM廃油せっけんづくりや河川の水質浄化を総合的な学習の時間の学習カリキュラムに導入。給食の残さで子どもたちと生ごみ発酵肥料をつくり、学習園や花壇で有機無農薬野菜や花づくりにも挑戦。これらの活動はPTAから地域へと広がり保護者有志でEM友の会「EccM(イーコム)クラブ西神楽」を結成、現在も続いている。定年退職後は地域の1住民として小学校にEMの出前講座をしている。教育現場にEMを導入する際の基本的なスタンスは、「正しく理解し、正しく使う」。そのために「責任を持って担当できる指導者の育成が大事です」と高野さん。

比嘉教授講評
小学校の子どもたちが地域の環境浄化に関心を持ち、地域と関わって成長していく。あらゆる問題を解決する知恵と創造力を持つた子どもたちを教育している。これこそ生きた教育です。


EMボカシネットワーク北海道支部の活動
勝俣規正さん EMボカシネットワーク北海道支部事務局長

EMに出会って、「施設利用者たちが生き生きと喜んで仕事に励むようになった」と話す勝俣さん
厳しい競争社会にあって障害者の施設では、利用者に少しでも高い工賃を払うことができる作業の確保に奔走している。北海道の平均賃金は15000円だが、作業の内容次第では平均賃金に満たないケースが多い。そんな中、EM・XGOLDを添加したパン製造・販売で年商約6500万円を計上し、利用者の平均賃金が6万5000円という施設も出てきている。ここのパンづくりのノウハウは支部内で公開され、パンづくりに挑戦する施設が増えていて、売り上げも順調という。EMボカシづくりは障害の重

今大会の展示・物販コーナーでも障害者施設のブースに多くの人が立ち止まって説明を受けていた
い人にも参加できる作業として定着しているが、札幌市にある精神障害者就労継続B事業所「わーく・ひまわり」(宮田所長)では、EMボカシづくりを通してEM生ごみ発酵肥料を投入した野菜 づくりやブルーベリー栽培に挑戦している。これも利用者の自立をめざして、大幅な収入増を期待した事業への取り組みと言える。「食糧供給地としての北海道。そこの支部ならではの特色ある活動を継続していきたい」と勝俣さん。

比嘉教授講評
障害を持った人々が社会の役割を持つためには自立をめざさなければならない。自立を通して障害者の位置づけが確立される。北海道の場合、社会の中で責任を果たせるようになる一歩手前まで来ている。今日の発表はその可能性を示唆している。


(2012年12月5日)


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