今大会は北海道in札幌実行委員会(東出輝一大会長)の主催で、北海道を始め札幌市、札幌市教育委員会、苫小牧市、江別市など5市3町1村、北海道新聞社やテレビ局5社、㈱EM研究所、全国EM普及協会、EMボカシネットワーク北海道支部、公益財団法人自然農法国際研究開発センターなどが後援しました。大会長の東出氏は新篠津村村長で、EM技術を取り入れたクリーン農業の先進地としての同村の豊富な事例が村職員によって発表されました。
食糧供給地として
来賓挨拶では北海道知事代理で農政部食の安全推進局の土屋俊亮局長が、「北海道は我が国の食糧供給地として生産性の高い農業が営まれています。有機資材による土づくりは環境への負荷が少なく、クリーン農業は今日の北海道農業のスタンダードになりつつある」と述べました。ツルネン・マルティ参議院議員は、6年前に超党派で議員立法化した有機農業推進法に触れて、「基本方針の見直しの時期に来ています。有機農業推進に今後も継続して取り組んでいきたい」と語りました。
未来を復興するEM技術
続いて、行政、農業、酪農、教育、福祉の分野から5人が事例発表を行いました(要旨別掲)。最後に講評・講演を行った比嘉照夫教授は、「東日本大震災や放射能汚染問題などで明るい希望を持てない未来、壊れている未来を今から意識して復興しなければならない。世界中でEM散布するイメージをみんなで持とう!」と呼びかける一方、「放射能の除染では、EMを活用して低減化するモデルを福島でつくっている。(失われつつある)未来を今から復興するという自覚を持って各分野でチャレンジして欲しい」と結びました。
また、比嘉教授は開会にあたっての挨拶の際に今回作成された150余ページから成る事例集に触れて、「豊富な事例と実績を納めた最高の事例集になりました」と讃えました。さらに、大会会長に東出新篠津村村長を迎えたことにも触れ、「新篠津村は平成6年からEM技術を取り入れた未来に向けた農業に取り組んでいる。このように行政と民の協力体制が維持されているのは、北海道EM普及協会の民主的な運営によるものです」と同関係者の労をねぎらいました。
なお、次回の同大会は平成25年に宮城県七ヶ浜町で開催される予定です。七ヶ浜町は、東日本大震災で津波により町の面積の約4分の1が浸水しましたが、復旧・復興に行政主導でEM技術が活用されていることが知られています。大会終了後行われた懇親会で相沢孝弘東北EM普及協会会長は、「EM活用で甦った町で皆さんをお待ちしています」と力強く宣言しました。
※第17回全国EM技術交流会北海道大会in札幌の優良事例を掲載した事例集(1000円)の問い合わせ先は、北海道EM普及協会(Tel:011−898−9898)。
事例発表要旨
比嘉教授講評 新篠津村はEM技術を活用したシステムはすでに完成しているが、村丸ごとEM散布すればシステム的にさらなるグレードアップが図れる。
比嘉教授講評 チャレンジすることでEMに出会って、自然の良さプラス自分たちの理想をプラスしていて行く気概がある。発想が豊かだから、いかにしてEMを使うかを知り、パターン化しない農業を実現している。
比嘉教授講評 乳牛1頭から1万kgの乳量は夢のまた夢のことなのに実現している小泉さんに脱帽です。EMを使ったシンプル酪農こそが究極な酪農経営の姿と言えます。規模を拡大して米国と同じ農業をやろうとすると苦しいが、いろいろな機能を持った農家はTPPの対象にならない。牛の出すメタンガスは全人類が出すメタンガスより多い。EMを与えると75%減少することがドイツの研究所の研究で分かった。小泉さんには限界突破にチャレンジして欲しい。
比嘉教授講評 小学校の子どもたちが地域の環境浄化に関心を持ち、地域と関わって成長していく。あらゆる問題を解決する知恵と創造力を持つた子どもたちを教育している。これこそ生きた教育です。
比嘉教授講評 障害を持った人々が社会の役割を持つためには自立をめざさなければならない。自立を通して障害者の位置づけが確立される。北海道の場合、社会の中で責任を果たせるようになる一歩手前まで来ている。今日の発表はその可能性を示唆している。