式典では、関係者の挨拶に続いて、来賓として出席したミャンマー前イエジン大学副学長チョチョミン氏が、不安定な政治情勢の中でEM技術を国のプロジェクトとして導入したことを振り返り、「APNANと農業省などの支援がなければ、EMのプロジェクトはできなかった」と感謝の言葉を述べました。
また、APNANのアドバイザーでもあるスリランカのペラデニヤ大学農学部作物学科教授のサンガッカラ氏が、20年間に7回の自然農法国際会議を開催し、1992年にはIFOAM(国際有機農業運動連盟)の大会で初めて自然農法とEM技術についての科学的なデータを発表し、世界の有機農業の取り組みに一石を投じたことなど、APNANの20年の歴史を紹介しました。「今後も『APNANニュース』などを通して自然農法とEM技術についての情報を発信し、世界の人々が研修会に参加できる機会をつくりたい」と抱負を述べました。
さらに、タイのサラブリ救世自然農法センターのカニット所長が、定期的な研修会は400回を数え、あらゆる国の研修希望者を受け入れ、参加人数は6万人を超えたことを報告。現在では、自給自足を目標に農地の広さに合わせて研修ができるシステムが、国や宗教を越えてたくさんの人々に受け入れられていることを強調し、「自然に学び、土の力を最大限に活かす農法を実践できる人材の育成に貢献したい」と意欲を語りました。
その後、4人のAPNANスタッフを代表して松本潤氏が、アジア・オセアニア地域の普及状況を発表。農業だけではなく医療や環境の分野にもEM技術が活用されている国家モデルとも言えるタイや、事業として成功しているインドネシアのバリ島、政治的には難しい問題を抱えながらも自然農法のモデル農場や有機農業マーケットをつくり上げたラオスの取り組みを紹介。「各国に1か所の自然農法研修センターをつくりたい」と希望を述べて、大きな拍手を浴びました。
最後に登壇した比嘉会長は、「岡田茂吉師(自然農法の創始者)の思想とEM技術が両輪となって、農業の産業革命を起こすとともに、自分の存在が他人のために役立つ事業モデルをつくっていこう」と呼びかけ、「世界各国が情報を共有するためにも、今後もしっかりした人材の育成をはかりたい」と語りました。
なお、APNANをベースにエジプトやシリアなどの中東地域では砂漠の食料問題や緑化、塩類集積対策にEMが使われ、南米のペルーでは国の支援で約80万世帯の貧困農家がEMを使っての有機農業を学んで農村に帰り、都市のスラム化が解消されているなど興味深い事例が発表されました。
サラブリ救世自然農法センターは、自然農法とEM技術のタイ人対象研修会を継続して開催しており、その研修の受講者は2009年現在までに、6万人を超えています。また、同センターでは、EMを利用した自然農法技術普及の東南アジアにおける拠点として、国際研修会も開催しており、世界35か国以上の国から2000人以上の参加者が受講しました。(2009年現在)
タイ国は世界一のEM消費国であり、東南アジアの自然農法とEM技術の普及拠点として、今後もその活動が期待されています。
その後、メープルオーガニック社を中心としたEMと自然農法普及活動は徐々に拡大しています。インドでは農業分野だけではなく、環境浄化活動においてもEMが利用されており、今後の普及拡大が期待されています。
同国では、EMを使った自然農法の普及のみならず、インドネシアの伝統的なオイルにEMを添加した、ボカシオイルや、そのボカシオイルを用いたエステサロン、EMエコツーリズムなど、独特のEM普及を行っています。インドネシア独自のEM2次製品も多数開発され、国内のみならず、海外でも好評になっています。
CWDSは、継続的にサラブリ救世自然農法センターで開催されている国際研修会に参加者を派遣し、現在は、その研修会受講者を中心に、EMを利用した自然農法が徐々に広がっています。
その後、2005年に、農業省の中でもEMと自然農法技術に関心が高い学校農業プロジェクトとの間に、新たに合意書を結び、APNANと学校農業プロジェクトが協力して同国における活動を展開しています。
一方でマレーシアのクアラルンプールにあるマイクログリーン社は、EMの販売とともに、油ヤシ用の堆肥としてEMを利用しています。
マレーシアはタイの隣国ということもあり、近年、サラブリ救世自然農法センターで開催されている国際研修会に多数の同国のEMユーザーが参加しています。今年8月には、ペナン州で大規模な環境浄化プロジェクトが行われ、100万個のEM団子が汚泥で汚れた海に投入され、TVや新聞などでEMがとりあげられ、注目を集めています。
ミャンマーにおけるEMと自然農法普及活動は、約20年間にわたり継続して行われ、その間に、4回の合意書が同国農業省と自然農法センター、APNANとの間で結ばれました。現在ミャンマーには、5つのEM製造工場があり、広範囲の地域においてEMが使用されています。また、2007年、CARTC(Central Agriculture Research and Training Center)では、EM技術スタッフを集めた研修会が行われました。長年にわたる普及の成果として、EMと自然農法技術をよく理解した優秀な人材が育ってきています。
2000年11月にビエンチャン市の農業林業局と自然農法センター、APNAN、EMROとの間で合意書が結ばれ、本格的な普及が始まり、現在までEMと自然農法の普及活動を同国において展開しています。
ラオスは、農薬や化学肥料の値段が高騰しており、貧困農家は、化学肥料などを購入することができません。そのことがEMを利用した自然農法を普及する追い風となっています。現在では、首都ビエンチャン市に、オーガニックマーケット(有機農産物市場)が設置され、多数の自然農法農家が農産物を市場で販売しています。
2002年1月にはニュージーランドのクライストチャーチにおいて、第7回救世自然農法国際会議が開催されました。マイク氏はNGOニュージーランド自然農法協会を通じて、EMと自然農法の普及を行っています。 また、昨年(2008年)より、EMを使用した救世自然農法のモデルとして、小規模の試験圃場が、リンカーン大学内のオーガニックトレーニングカレッジに設置されました。