20年近く続くボランティア団体「京都EMラブ」。 その代表を勤める吉弥信子さんに、EMとの出会いから、その活動内容、ご家庭での利用方法などを伺いました。
―EMとの出会いは? 吉弥: 25年前、子育てしながら「これから先、自然環境がどうなるのか」と悩んでいました。そんな時に「地球を救う大変革」(比嘉照夫著)に出会って、目からウロコ。EMがあれば環境問題など一切心配しないでいいのではと、猛然とEMの勉強を始めました。1〜2年は、EMが本物かと比嘉先生の追っかけをしていました。生ごみを燃やすのが嫌だったので、まず、生ごみ処理から始めました。畑仕事をしたこともないド素人が、EMボカシを使って生ごみを発酵肥料にして野菜をつくったら素晴らしく美味しい出来だったのです。この時、今まで忘れていた「何か」を取り戻した気持ちがしました。この経験をみなさんに伝えたいと京都EMラブを平成8年に設立しました。
―まず、取り組まれたのが二条城のお堀だったとか? 吉弥:すぐに仲間の一人が「二条城のお堀が汚れているのでやってみたい」と言い出し、二条城の事務所長に頼みに行きました。「タダならして下さい」と言われ、とにかく始めて、4年半ぐらい継続しました。お堀の地下水は鉄分が多く苦労しましたが、微生物は鉄分を水から剥離してくれることがわかりました。京都国立国際会議場でCOP3(地球温暖化防止京都会議)の世界大会が開催された当時の話です。 その後、同じ会場で「世界水フォーラム」が開かれ、そこでEMのブースが出て、各県の小中学生がEMでの水の浄化活動について発表をしました。これはチャンスだと会議場に掛け合って、会議場を囲む人口池の浄化を始めました。中古の培養装置も買い入れて現場に置き、京都産業大学の学生さんとEMラブの仲間たちとで、活性液や生ごみを元にしたEMダンゴで2年半の浄化作業をしました。この間、何度もきれいになったり、汚くなったりを繰り返しました。「ニオイもひどくなり、本当にEMで池がきれいになるのか」と苦情が出るほどで、私も「これで効いているのか、汚れが落ちているのか」と心配で泣きながら家まで帰ったこともありました。 ところが、たまたま数日後に比嘉先生にお会いする機会があり、写真を見せると「吉弥さん、おめでとう。最後の浄化ですよ」と意外な言葉が返ってきたのです。半信半疑のまま、2〜3日して、池を見行くと、本当にスカッとした池になっていました。嘘みたいな話でしょう。でも、何回か汚泥がEMで分解されて、それが浮き上がり、汚い水に戻るのですね。この現象で、がっかりしてEMでも浄化活動をあきらめる人が多いのですが、実は浄化のプロセスなんですね。二条城のお堀も、同じような経緯できれいになりました。これ、EMで水の浄化をする場合の大切なポイントですよ。
―なるほど。一気にきれいになると想像していまいますよね。次に手がけたのは、京都大原の二つの河川ですか? 吉弥:私は、呂川をきれいにする会(代表:久保勝『志ば久』社長)にやり方をお教えしただけです。地域住民の方たちの努力の結果ですね。お店やご家庭の排水口からEM活性液を流すことで、今では考えらないほど悪臭が減り、ホタルまで復活した場所もあります。求められれば、どこにでも伺ってEMの話をしますが、とても興味深い経験もたくさんしてきました。
―たとえば、どんなことですか? 吉弥:3年前、京都競馬場からの排水が流れ込む淀川人工河川のヘドロのニオイで困っているので「吉弥さん、EMの説明をして欲しい」と、地域の緑化活動をしている方に頼まれたのです。この川は、コンクリート三面張なのですが、河津桜で有名な景勝地になっているんです。私は、生態系からはじめて、微生物による浄化のしくみを話したのですが、そこに参加していた元大学教授が、ハクバンを前に「好気的な方法しか水の浄化はできない」という持論を滔々と述べられたわけです。元大学の先生ですから、誰も反論できません。その場の皆さんが、EMは使わないという雰囲気になってしまったのですね。やはり、EMで効果を出している普通の主婦の話よりも、実績がなくても元大学教授の話の方を信用する。 地位と名誉を重んじる社会がまだはびこっていることを実感しました。 ところが、数日後、リーダーのKさんから電話があって「やっぱり、EMでやってみるよ」とおっしゃる。「村八分になるかもよ」と冗談半分に返したのですが、そんな問題もなく、今でも、継続してEMを投入されています。作業をしていると説明会に参加した方の中にも、黙って手伝ってくださる方が数名おられます。ありがたいことです。 勿論、悪臭も消えて、気持ちの良い散歩道になっています。これは、皆さんがリーダーのKさんを信頼した結果だと思います。私も、その都度ご一緒に作業をしていますが、通りすがりの方から「EM団子のおばちゃん」と呼ばれて、野菜を頂いたりしています。とても、うれしいですね。
―喜ばれている土の再生のお話を。 吉弥:通称嵐電と呼ばれる京福電鉄は、NPO法人京都・雨水の会などと一緒に沿線の緑化活動を行っています。龍安寺駅では、街ぐるみで花を育てていて、華やかな雰囲気に包まれていますが、こうしたボランティアから「EMはどう花壇に使うの?」など聞かれて、お話ししています。京福電鉄沿線の学校7校の花壇作りにも、EMが使われています。
―どのような方法ですか? 夏休み前にプランターの古い土に、EMボカシ、EM活性液をかけてビニールシートでしっかりと覆います。このとき、まわりの草や腐葉土も入れます。1ヶ月後には、きれいな白カビがはえて土が復活するわけです。 土の代金に20万円もかけている学校もあったので、土を再生する方法は、とても好評です。経済的にもお得ですね。 プランターに再生した土にEMボカシを混ぜて入れ、苗の植え付けをします。EM活性液は、こちらから持参する場合もあるし、子どもたちに作り方を教える時もあります。この沿線が、花でどんどん美しくなっているのは、見ていて幸せです。住民を巻き込んだ花の街づくりは、鉄道会社、どこでもできそうですよね。
―ご家庭ではどのようにEMを使っていますか? 吉弥:毎日、EM活性液でお掃除するのは当たり前ですが、私がとても気に入っているのは、お料理の下ごしらえにEMを使うことですね。スーパーの調理場を覗いたら、すべて塩素で消毒していて、これでは本来食品がもっている良い微生物も殺されてしまうと恐ろしくなりました。だから私は、そのまま調理するのではなく、お魚や野菜は10倍EM活性液を50倍に薄めた水に浸してから冷蔵庫に入れます。ただし、これは自己責任。私たち夫婦は、長年料理に使っていますが、問題は全然ありません。
滋賀県大津市にある喫茶ギャラリー「るーむブナ」では、2ヶ月に1回のペースでEMワークショップを15年間も開いて下さっています。常連メンバーがお友達を誘って来て下さり、EM活性液や、EM石けんの作り方などEMの基本的な考え方や使い方をお伝えしています。自分でもよく続いていると感心しているのですが、やはりEMは面白く、しかも奥が深いことに尽きます。
―吉弥さんにとってのEMとは? 吉弥:私は「EMさん、ありがとう。地球のためにお願いします」という気持ちでEMと接していますが、お返しはそれ以上のものです。比嘉先生が「EMと出会うことは人生の宝くじを当てたようなもの」といわれますが、私は宝くじ以上のものを引き当てた気分です。 若いお母さま方には、「活性液やボカシを作ったりEMに接するときには、あたたかい、やさしい心で接して下さい」と頼んでいます。EMさん達は生き物です。こちらの気持ちをちゃんとキャッチしてくれ、よい活性液(PH3.5以下)になったり、そうでなかったりしますから。気分のすぐれないときは作るのをやめて、ポジティブなときに作るなど心がけていただきたいです。
文責:小野田