99校の給食残さを飼料化
NPOがつなぐ「食・農・生ごみ」の地域内循環
●新潟県長岡市 NPO法人地域循環ネットワーク
新潟県長岡市のNPO法人地域循環ネットワーク(以下、循環ネット・金子博理事長)は、平成13年にNPOとして全国初の指定一般廃棄物処理業者の指定を受け、市から「学校給食残さリサイクル」事業を委託され、市内全小中学校・保育園の生ごみ回収・飼料化に取り組んでいる。飼料は地元の畜産農家が利用し、生産した食肉の一部は給食の食材に取り入れられるなど、行政と農家、NPOが協働で取り組む「食・農・生ごみ」の地域内循環で、健全な食の仕組みづくりをめざしている。
●300tの生ごみ資源化
長岡市は、平成17~18年の10市町村合併で人口28万人になり、循環ネットが取り組む学校給食残さの回収も、53校から倍近い99校になった。給食はすべて自校調理方式で、合併前の53校では、1万9,000食を調理し、1年200日の計算で380万食分の調理クズや給食残さ約300tが排出・回収されていた。これらは、すべて家畜飼料に再利用している。
金子理事長は、「生ごみは家畜飼料の原点。配合飼料や輸入飼料に頼らない畜産で安全な食肉を確保するのがねらい。循環ネットは、地域の中で人と食をつなぐ調整役」と話す。学校給食以外にも家庭の生ごみを回収・飼料化、生産した食肉を給食の食材として還元する「エコグリーンクラブ」も展開する。
●ボランティアが支える
回収作業はボランティアが主体になり2人1組で行う。午前と午後に分かれてワゴン車4台に分乗し、1台が10~14か所の学校を回る。100人以上の中規模校は毎日回収し、小規模校ではEMボカシで下処理してもらい、排出量によって週1~2回回収。スタート時は、分別や水切りの仕方を徹底するので、調理員から、“分別や水切りなどの余分な作業が増える”と、嫌な顔をされたこともあったが、顔なじみになって話ができるようになると、回収もスムースに運ぶようになった。
循環のシステムづくりでは、「ボランティアの育成」が重要なポイントになっている。循環ネットでは、定年退職者や主婦の参加が多く、現在ボランティア登録者は50人。「ボランティアさんによる“自分たちも教育の一環を担っている”との意識が活動を支えている」と同ネット事務局長の須藤梓さんは話す。
●地震で壊滅的被害
2人1組の生ごみ回収作業。市内の小・中学校を巡り、ビニールに入れられた食品残さをダンボールで回収
回収した残さは、市内の畜産農家「みゆき牧場」(渡辺謙三代表)内にある作業棟に運び、大型乾燥機(処理能力1日1t)で約4時間かけて乾燥・加熱殺菌。その後、EMボカシを加えて、1週間~10日間熟成発酵させる。完成した飼料は、みゆき牧場など市内の畜産農家3軒で活用されている。
みゆき牧場は、2年前の新潟県中越地震で畜舎を全壊するなど壊滅的な被害を受けて、それまで飼っていた牛や鶏を手放した。復旧もままならない中、「給食残さは、ごみにしない」との金子理事長の呼びかけで、学校給食の再開に合わせ2週間後には動き出した回収作業に対して、雑食で比較的手のかからない豚のみの経営に切り替えて受け入れに応じた。現在、600頭をEM生ごみ発酵飼料で飼育する。
牧場周辺の土砂に埋まった道路や地盤の復旧は、ボランティアらの協力で少しずつだが進められている。渡辺代表は、「今年から小中学校の施設見学や体験学習の受け入れを再開した。何10年先になるか分からないが、再建への夢は持ち続ける」と力強く語る。
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