この事業は、EM活用による土づくりを中心とした環境保全型農業により、果樹面積3,000haに及ぶ「桃・ブドウ日本一の郷」を堅持し、石和温泉を中心にした「温泉郷の街」という地域の特性を生かした資源循環型社会の構築を図るもので、「木質系バイオマス(果樹せん定枝や植木屑)のチップ化」「生ごみの堆肥化」「廃食用油のBDF化」の3つを柱としている。
●EMボカシ製造にも助成
これらのEMボカシを製造するグループをまとめて、生ごみリサイクルネットワーク「エコふえふき」(代表:鮫谷陸雄さん)が立ち上がり、農業・環境などの学習会や社会福祉まつりなどへ参加して、市民の立場でごみ減量と生ごみの有効活用を推進している。市では、「やってみるじゃんごみ減量53%」とのスローガンを掲げ、18~22年度までに53%のごみ減量をめざしている。19年度末までに28%削減。バイオマスタウン事業の生ごみリサイクルに関連して、今年度はさらに削減する見通しだ。
●農地のない家庭のモデルに
また、生ごみ堆肥化モデル地区では、2通りの堆肥化実証事業が行われている。1つは、約60世帯の団地に生ごみ処理機「蘇生利器」を設置して、住民が直接生ごみを投入するというもの。ここでは、週平均50kgの生ごみ堆肥が製造されている。
学校の給食残渣については、現在9校に生ごみ処理機を設置し、給食主事が生ごみ残渣を投入している。今後は、すべての学校に生ごみ処理機を設置する予定。また。石和温泉郷から出る大量の生ごみについてもリサイクルを検討している。
●果樹せん定枝燃やさず農地に還元
また、せん定枝をチップ化してもそのまま農地に施用すると土壌障害が起こるため、EMを培養するEM活性装置「二千倍利器」を導入。この装置で、週2,000リットルのEM活性液が製造されて、農家に毎週月曜と木曜に無料配布されている。農家などが、EM活性液を剪定チップに散布して良質なバーク堆肥づくりを行う他、葉面散布など農業全般への利用、また廃油石けんづくりなど多方面に使っている。EM活性液の製造・管理は、3人のEM農業実践者が当たっている。
●土づくり学習会と果樹の成果
これらの事業を推進するために、市では、農業委員やチッパー助成農家、認定農業者、EM活用者などに呼びかけ、地域学習会を3地区で1回ずつ3回にわたって実施した。第1回の基礎講座では、バイオマスタウン構想とEMの活用についてとその効果で、各会場約80人前後の参加者があり、第2回目の実践講座「EM農業に取り組もう」では、実践的なEM農業技術を学習。バイオマスタウン構想策定検討委員会委員でもある鮫谷さんら、早くからEMを活用していた農家が講師として活躍している。
バイオマスタウン事業を通し笛吹市では、市民の知恵と専門家の技術を分かち合い、日本一の循環型農業観光都市をめざしていく。[2009/5/7]
事業の詳細「笛吹市バイオマスタウン構想」 http://www.biomass-hq.jp/biomasstown/pdf22/22_1.pdf