今年もまた、希望に胸を膨らませた、9名の新入生が土佐自然塾に入塾した。新卒の若者から、30代、40代、定年近い年配の方も含め、その顔触れは多士済々。
祝辞。
「書を捨てよ、畑にいでよ」「五感を鍛え、感性を磨け」「百の理屈より、一瞬のヒラメキ」
「悩む前に体を動かせ」「閉じた心を解放せよ」
詳しく述べよう。良いものを安定的に作るためには、多岐にわたる農作業の、その一つ一つが適切で、正確で、早いかどうか、上手いか下手かが問われている。水やりや、整枝、剪定などの肥培管理、トラクターなどの機械操作技術、天敵の誘引や、ネット防除などの耕種的防除もあるけれど、病虫害を未然に防ぐその基本中の基本は土づくり。
そして多種多様な生命が息づく、豊かな自然が循環する仕組みを、コンパクトに畑に再現することも大切。他にも、雑草管理や、微生物活用技術、土壌診断や施肥設計等々、数え上げればキリがないぐらいたくさんの作業と技術がある。百姓と言われるぐらいだから、百通りの農作業に、百通りのニュアンスがある。それを習得するには、五感をむき出しにし、全身で反復訓練する必要がある。それを、ノリ一発でやる環境を、土佐自然塾では整えている。
気分よく積極的に学ぶための快適な脳内環境を整えるためには、不安などの不要なファイルを削除し、脳内ハードディスクの空き容量を増やすことも学ぶ技術の一つ。そのために一番良い方法は、悩む暇がないほど体を動かすこと。これを数か月繰り返し、心と体が慣れてきたら次のステップ。土の物理性や化学性、生物性について技術書から、学ぶ。その場合「自分にはちょっと難しい」レベルに頭を使うのはいいけれど、それ以上の難しい内容は読み流す。定期テストで点数を取るような、文字と数値を暗記するような頭の使い方は、時間とエネルギーの無駄。「下手な勉強、休むに似たり」。この際、学生気分とはキッパリ手を切る。だから読み流すのだ。とにかく、農業が好きな人なら、大切な情報は必ずハードディスクのどこかに残っていて、それが現場の刺激に反応して蘇ってくる。
作物が教えてくれることもあれば、畑の状況を反芻しているうちに、「あ、そうか!」と気が付くこともある。「なるほど!」直感と理屈がつながり始めると、さらに楽しくなる。こうなれば流れはこっちのもの。学ぶ楽しさと働く楽しさの好循環「あ、そうか、なるほど」症候群が始まる。ここでやっと難しい理論を学ぶ環境が整ったわけだ。さあ、ここからは頭もしっかり使って、さらに感性と文字と数字と理論をつなげていこう。後は、そこから導かれた結論を保存し、現場で必要な時にその情報を取り出せばよい。そのためには、さらに脳内ハードディスクの容量を増やし、心を強く保つ必要がある。だから、その意識の拡大のもとになるモチベーションを、何に求めるかが問われている。「何のための人生か」と。
「日本の農業を変える」「消費者の健康を守る」「美しい日本を取り戻す」
拡大した意識には、自由と解放感、すなわち幸せが後ろから忍び寄って来る。
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