そして、季節が一巡すると子どもたちは、なんだかんだあっても大きくなっています。「自然の移り変りと共に、私たちも生きている」と、純粋に感謝できるようになりました。
私の農業
そして、もう1つの仕事は、種をまいて芽が出た喜びや、キレイな花を咲かせた自然の出来事を伝えることです。毎年、同じ時期、同じタイミングで喜びや美しさに感動します。この感動もたくさんの人と共有したいと取り組んでいます。
生きるための農業
そのためには、自然を感じることです。農家だけで感じてはいけません。食べる人と一緒に共感できる農業がいま必要なのです。
“知る”から“共感”へ
また、大量単一作物栽培ではない、自然に近づけるための多品目栽培の労働効率と作物の価格などの、経営面の話も包み隠さず話しています。その中で、お客さまが1つでも農業のことを知っていただけたら幸いと願い、営業しています。
しかしながら、民宿はあくまでも民宿です。接客で、いくら話しても知識だけになってしまいます。今後は、さらに深く有機農業の必要性を体験できるような取り組みを進めていきます。レジャー的な農業体験ではありません。田舎暮らしを楽しむことも含め、自然の営み観察会、農業座学、農業体験も総合した短期集中講座のようなプログラムです。現在、自然案内を仕事にしているプロの方に相談して、少しずつ形にしています。
大切な真ん中
私は農家です。命を育む1次産業は最も重要なものです。この分野で、私のできることに取り組みます。もちろん、これからも楽しみながら自然と共に。
おち・もとゆき 1967年大阪市生まれ。31歳までは大阪の電力会社に勤務。 1992年休職し、青年海外協力隊に参加。先進国の利益のために自然環境が悪化している途上国の生活を知る。1995年復職。余暇で自然環境の専門学校に通い、1997年卒業。ある時から"農業にこそ真の 豊かさを伝える原点がある"と考えるようになり、脱サラして就農することを決意。1998年父親の出身地である瀬戸内海の大三島に家族で移住し就農。現在、約70aで野菜や果樹、稲作栽培、養鶏などで産直販売をしている。また地元生産者らと有機野菜グループ「家庭菜園」を結成し共同出荷を開始。その他、NPO「大三島愛らんど自然倶楽部」や「大三島自然探検隊」なども立ち上げ、EM活用も含めた多彩な環境保全活動を展開。家族は両親と奥様、そして元気な3人の息子さん。