前回までの連載は、子どもたちと感動を共にした"元気菌ちゃん野菜づくり"がテーマでした。今回からは、おなか畑の土づくり(食改善)による、目からウロコ、奇跡のような元気菌ちゃんの子づくりの話です。
その具体的な方法の前に、初回はこのテーマを実践して、驚くべき効果を上げている例を報告します。
4週間で、赤血球は大きく変わる
下の写真は、佐世保市内の中学生の血液です。耳たぶからわずかな量を採取して顕微鏡で見たものです。左上が食改善のビフォー、右下が食改善を4週間実践したアフターです。
現代の中学生の多くはこのように赤血球どうしが重なり合う、いわゆるドロドロ血になっています。また変形した赤血球も目立ちます。甘い物の摂りすぎなどが原因で背後の血しょうが白くなっている例も見受けられました。
それが、たった4週間の食改善で赤血球はお互い離れて、まん丸に。つまり、脳細胞の隅々までスムースに酸素と栄養を運べる血液に大変身したのです。
低体温児童がなんと1%
各月ごとに連続して3日間、朝の登校時に測定して、その平均値をその月のその児童の平熱としています。食の改善などに全校で取り組み初めてから、平熱36.5℃以上を保持する児童の割合がどんどん上昇してきています。
おもしろいのは、3月と8月の急な落ち込みと翌月からの急激な回復です。落ち込んでいる月は、長期休み後の登校時に測定したものです。つまり学校給食が食べられない月だけ体温が低下して、給食を食べるとまた回復していることです。
この理由は、家庭での食事に私たちの基礎代謝を正常に保つために必要な微量栄養素がなくなっていることと、仁尾小学校の給食には微量栄養素を確実に入れる特別な工夫がされているからだと考えられます。 実は、仁尾小学校では給食を作るときに調理の最後に必ずあご(トビウオ)の粉末をダシとして振りかけ、粉末ごと食べていたのです。その他、小魚の頭ごと調理・発酵促進食品を入れる・野菜の皮や芯を活用するなどを実践しています。
ところが、仁尾小学校は平成25年6月から常に5%以下なのです。さらに、「4週間挑戦!地球の生きる力とつながる食生活」(具体的な内容は今後の連載で紹介します)を実施した7月と11月は、なんと!35℃台の児童は学校全体で1%台になっていたのです。こんな小学校は、今の日本には仁尾小学校以外にまず無いでしょう。
PROFILE よしだ・としみち NPO法人大地といのちの会理事長。1959年、長崎市生まれ。九州大学農学部大学院修士課程修了後、長崎県の農業改良普及員に。96年、県庁を辞め、有機農家として新規参入。99年、佐世保市を拠点に「大地といのちの会」を結成し、九州を拠点に生ごみリサイクル元気野菜作りと元気人間作りの旋風を巻き起こしている。2007年、同会が総務大臣表彰(地域振興部門)を受賞。2009年、食育推進ボランティア表彰(内閣府特命担当大臣表彰)。長崎県環境アドバイザー。主な著書は「生ごみ先生の元気野菜革命」「いのち輝く元気野菜のひみつ」「生ごみ先生のおいしい食育」「まるごといただきます」など。
先日、仁尾小学校の給食の時間に同席しました。「いただきま〜す」のあいさつのあと、みんな静かすぎる!!全員が、最初の一口だけは100回噛みをしていたのです。ほぼ食べ終わるころから、とにかく騒がしい。でも、立ったり、走り回ったりして先生が付いていないといけないような子どもは1人もいません。わたしに人懐っこく話しかけてきたり、友だち同士でよくしゃべる。それから、何の合図もなく突然、急にしーんとなったのです。わたしは何があったのかビックリして、隣の子に「どうしたの?」と聞いたら、今からごちそうさまの挨拶なんだそうです。食事中に流れていた音楽が聞こえなくなったのが合図だったのです。
広いホールに3年生から6年生までが一堂に会しているのに、誰も大きな声で命令していないのに、お互いが気づいてアッという間に静かになれる。そんな小学校が他にあるでしょうか?!そして、給食の時などで補助の先生を必要とした子どもも、食改善を始めてから皆無になったそうです。
学業成績まで向上
低体温の児童がほとんどいなくなったと言うことで、さまざまな好影響が表れ始めています。まず、欠席日数がとても少なくなったこと。いくら限られた時間で効率的に授業をしたくても子どもに欠席されてはどうしょうもありません。1日あたり平均欠席児童数が平成23年度は、8.1人で、24年度は4.1人。25年度は10月までで2.2人です。子どもたちは、見違えるほど病気に強くなってきました。インフルエンザは、今年は1月中旬時点でゼロ。これからが楽しみです。
また、爪や髪の伸びが早くなり、爪切りや散髪のタイミングが早くなったことに気づいた児童も多いようです。校長先生も髪の毛に変化は感じられないが、爪の伸びが早くなったことを実感していました。栄養で、爪や髪が必要以上に伸びるわけではないので、これまで何らかの栄養素不足によって爪や髪の細胞分裂がまともにできていなかったと考えられます。その栄養素が供給されて、普通の状態に回復したのでしょう。
担任の先生方は、クラス全体の児童の落ち着きがさらに良くなったことを実感しています。学力テスト等の成績も上がっているので、食改善がさらに進んだあとに実施される来年度の学力テストの結果は大変楽しみなところです。
おなか畑の土づくりとは
さあ、この子たちが学校で取り組んだ、おなか畑の土づくりとは?それは菌ちゃん野菜づくりのための土づくりとほとんど同じことだったのです。この絵は、仁尾小学校で授業中に使われていた物です。ここの児童たちは、すでに1学期から生ごみを使って菌ちゃんだらけの土をつくり、2学期にはすごく美味しい菌ちゃんニンジンを育てていました。
そのポイントをまとめたのが左の図です。それに対比させたのが右の図で、人間もおなか畑をしっかり土づくりしようということで、具体的にどうすればよいかを子どもたちに考えさせていく授業です。そうやって、動機づけがしっかりできたので、食生活は根本的に改善され、その結果として先に書いたような奇跡的なことが起こったのです。
次回からは、ひとつ1つの食改善について、イラストと子どもに分かるくらいの表現で具体的に説明していきます。是非、クラスや塾、運動クラブなど子どもたちの集団で一緒に実践できるところがないか、探しておいてくださいね。
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