甘くておいしい無農薬のトウモロコシが作りたい!
「何も手当をしなければ、200%の確率で害虫被害を受ける夏野菜はトウモロコシでしょう。」 私はよく、トウモロコシを注文されるお客様にこうお話しします。私の野菜を買いに来るお客様の中には、「市販されている物の中には、調理すると薬品のニオイがするので怖い。」と話される方が少なからずいます。 慣行栽培の土のせい? それとも残留農薬のせい? 正確な理由は私にはわかりません。 90歳で亡くなった私の母は手先が器用で、野菜づくりの要領も良く、近所の人に栽培のコツを教えていました。中でも、母はトウモロコシ栽培について『トウモロコシのヒゲがチョロチョロ出た頃、オルトランの粒をヒゲへ4〜5粒パラっとかければ虫が入らないよ』と近所の人に言っておりました。60年ほど前の話です。母の実家が野菜づくりを大規模に行っていたので、農薬の使い方も聞いていたのでしょう。その成果により、私は幼い頃から実の詰まった、虫食いのない、甘いトウモロコシを存分に食べて育ちました。今思えば、とんでもなく怖い話です。 そのころの多くの農家や家庭菜園者の野菜づくりは、農薬、化学肥料が当たり前の時代だったのでしょう。しかし、私が生まれた1952年から68年も経っているのに、私の周りの畑の野菜づくりは何も変わっておりません。 現在でも農薬と化学肥料を使った栽培方法が主流となっています。 私は、そんな流れを少しでも変えたい、無農薬で甘くておいしいトウモロコシを作りたい、と挑戦を続けてきました。
アワノメイガ対策に試行錯誤
EM農法を活用していれば、甘くておいしいトウモロコシができます。ただし、害虫被害は0になりませんでした。 数年前まで、露地栽培で家庭用のトウモロコシ(50本ほど)を育てていた頃は、一匹ずつピンセットで取り除いていました。アワノメイガが実に入ってきたら、まず雄花を切る。次に、実の先端部分から隙間を開けるようにして、ピンセットで幼虫をつまみ出す。 幼虫は小さくても頭の部分が茶色で、すぐに見つけられました。一つの実に数匹いて、数時間をかけてでもこの作業を続けました。収穫するまでの間、2〜3回はこの作業を行なった結果、虫の被害はそれほどひどくなく、実の詰まりもキレイでした。 時には、伸び縮みする支柱(ゴーヤの棚に使うもの)を畝の周り立て、防虫ネットで全体を覆ったこともあります。トウモロコシの茎の成長に合わせ、防虫ネットの高さを上げるのです。 また、少し離れたところにアサガオを5本植え、支柱で高い円錐棟をつくり、花を育てたこともあります。アワノメイガの成虫がアサガオの花が好きだと野菜の本で読んだので試してみました。 おとり栽培は他にも試しました。少し離れた場所に4〜5本のトウモロコシを植え、雄花が花粉いっぱいになっても、実ができてもそのまま放置する、という方法です。ここにアワノメイガに集まって来てもらい、結果、収穫したいメインの畑は被害が少なくなる、という算段でした。 しかし、これらの方法はどこまで効果があったのか、正直実感がありませんでした。
防虫ネットハウスで虫よけ!
最後にたどり着いたのは、防虫ネットハウス。 このアイデアのきっかけは、雪による災害でした。 福井県は、2018年、2020年、豪雪に見舞われました。全国ニュースにもなったので、皆さんの記憶にも残っているかと思います。高速道路、国道8号線、共に普通車、トラックなどで3000〜4000台が雪に埋もれ、自衛隊出動となったあの災害です。 私の家は高速道路、国道から7kmほど離れていますが、車2台分のカーポートが壊れました。近隣では農業用ハウスが15000棟つぶれたと聞いています。 そこで私は、壊れたハウスのリサイクルを思いつきました。廃棄される資材が無料で手に入ることは魅力的で、ペンチとドライバーを持って、ハウスの解体作業に加わりました。 再利用できるパイプ、ネジなどの部品をトラックで持ち帰り、畑に組み立てていただきました。間口3m、高さ2m、奥行9mのハウスの組み立ては、大人の男性二人がかりで1日半かかりました。 そして次に、ネットの準備です。
手間暇かけて、ようやくリサイクル防虫ネットハウスが完成しました。 ですが、「さあ、これで問題なく無農薬のトウモロコシが栽培できました!」とは、ならなかったのです。 この続きは次回のお話しで。
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