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Part.2 第2回 旬の野菜を食べよう!<具体的食改善その①>

春の青空の下、植物は葉を広げ、一日中気持ちよさそうに光を浴びています。夏の強烈な光に対しても、葉はしっかり受け止めています。私はそんな葉っぱを眺めながら、「すごいなあ・・」って感心します。だって、私たちが裸で一日中、ピーマンと一緒に立っていたら・・、10分で日焼け、1時間で大やけどです。
紫外線はDNAを損傷するだけでなく、体内の水分に当たると必ず強力な活性酸素を発生させるのです。だから、動物はみんな年に一回使い捨ての深い毛で、体を覆って暮らしているわけです。では、植物はなぜ、一日中素肌をさらしても平気なのでしょう?
その具体的な方法の前に、初回はこのテーマを実践して、驚くべき効果を上げている例を報告します。

植物だけがもつ力

光のエネルギーを利用する植物は、光の害に耐えて生きるしかないのです。そのために獲得した力のひとつが、アントシアニンやリコピンといった植物だけが持つ成分「ファイトケミカル」。それは、活性酸素を消去して体の酸化を抑え、老化やガンを抑え、免疫力を上げるなどビタミンやミネラルと並んで、まさに生命力にかかわる栄養素です。
私たち動物は、植物が作った酸素のおかげで生きられ、エネルギー(炭水化物)さえも植物からもらっています。さらに根源的な生命力までも植物からいただいていたなんて!それを考えると、ご飯とお野菜さんが心からありがたくなってきます。
でも、疑問はあります。ウサギはニンジンや草を食べ、牛も草で大きく元気に育ちますが、では肉食動物のライオンはどうか? 草は食べずに肉ばっかり食っているじゃないか。そう思われるかも知れません。確かに、ライオンがそのまま植物を食べても、それをすりつぶす歯も体内で消化する酵素も持ちませんから、吸収することはできません。でも何らかの形で植物を食べないと長くは生きられない。だから彼らは、シマウマなど草食動物の狩りに成功したとき肉の部分ではなく、その内蔵を真っ先に食べます。つまり、シマウマが食べて、よくすりつぶして発酵状態にしてくれた「草のみそ汁」をいただいていたのです。
ライオンでさえ植物が必要なのに、雑食動物の人間がライオン以上に動物食過多になっていませんか?これでは生命力=植物パワー不足になって、病気になりやすいのは当然かも知れません。
でも野菜だったら何でもいいかと言えば、そうではありません。日頃から野菜をたくさん食べる人もあまり食べない人も、大腸ガンになる確率は同じであることが2005年、厚生労働省研究班から発表されました。仮に野菜に発ガン抑制成分が全く無かったとしても植物繊維はあるのですから、大腸ガンを抑制する効果があるはずなのに・・。それさえも無かったことが、9万人を対象にした10年間の疫学調査により統計的に証明されているのです。一般に流通されている野菜を普通に食べても意味がない!野菜はしっかり選ばないといけない時代になっていたのです。

ハウス栽培よりは露地野菜

低体温の児童がほとんどいなくなったと言うことで、さまざまな好影響が表れ始めています。まず、欠席日数がとても少なくなったこと。いくら限られた時間で効率的に授業をしたくても子どもに欠席されてはどうしょうもありません。1日あたり平均欠席児童数が平成23年度は、8.1人で、24年度は4.1人。25年度は10月までで2.2人です。子どもたちは、見違えるほど病気に強くなってきました。インフルエンザは、今年は1月中旬時点でゼロ。これからが楽しみです。
また、爪や髪の伸びが早くなり、爪切りや散髪のタイミングが早くなったことに気づいた児童も多いようです。校長先生も髪の毛に変化は感じられないが、爪の伸びが早くなったことを実感していました。栄養で、爪や髪が必要以上に伸びるわけではないので、これまで何らかの栄養素不足によって爪や髪の細胞分裂がまともにできていなかったと考えられます。その栄養素が供給されて、普通の状態に回復したのでしょう。
担任の先生方は、クラス全体の児童の落ち着きがさらに良くなったことを実感しています。学力テスト等の成績も上がっているので、食改善がさらに進んだあとに実施される来年度の学力テストの結果は大変楽しみなところです。

おなか畑の土づくりとは

ヒトを含めて動物は、大きく分けて育成期、繁殖期、老化期があります。育成期の初期には能力が隠れたままの状態ですが、ここで適度な試練を受けると、それを乗り越える能力が引き出され、強化されていきます。逆に、身体ができあがった繁殖期や高齢期は、あまり無理をしてはいけません。大人と子どもは生物としてのステージが違うのですから。
その意味で、幼児期はその後の一生に影響する大切な時期です。だから、幼児教育をもっと真剣に考える必要があると思います。キレやすい子、我慢できない子、しっかりと大人が見守ってやらないと大けがをしやすい子が増えています。幼児期に味わう暑さ、ひもじさ、けんかやけが、適度な苦しさは、”元気人間”になるための生物としてとても大切な体験でしょう。
これは植物も同じなんです。農家はキュウリを育てる場合、苗を植えてから数日間はわざと水やりをしません。そうする根が発達し、長期間収穫が続けられるオトナに育つのです。反対にオトナの時期に水を切ったら、二度と立ち直れない。だから、麦踏みも、発芽したばかりの野菜の根を光に当てる「土中緑化」も、あえて試練を与えることで強い野菜を育てることになるわけです。
雨風が野菜を頑丈に育て、強い光がファイトケミカルやビタミンを増やし、寒さが野菜の栄養価を上げて甘くします。環境をコントロールして守られた工場育ちの安全で清潔な野菜もありますが、私には旬の露地野菜の方がハウスや野菜工場育ちよりも育ちは遅いけれど、その分生命力あふれる野菜になっているように思えます。
暑さ寒さや雨、風、光、乾燥などに負ける野菜と、それにうち勝つ野菜がある。その差は土が微生物いっぱいであるかどうか。人でいえば、苦しさをバネにできる底力は、いのちいっぱいの食と、何より親の愛情の念から育まれるのでしょうね。
なお、このハウスで抗酸化力の高い野菜を育てたいのなら、紫外線透過率の高いフィルムを使って欲しいです。このハウスだと、プラスチック製の道具を中に置きっぱなしにすると野外に置いたのと同じように早くボロボロ(酸化状態)になってしまいますが、野菜たちは酸化に負けない力を付けて育っていきます。

旬の野菜

昔は6月頃、キュウリの初物を仏壇に供えていました。食べない時期があるから、久しぶりの野菜に感動できるのです。でも、冬にまでキュウリやナスを食べ、夏にまでキャベツやダイコンを食べると、ますます旬の時季の野菜に感動しなくなり、食べなくなります。
おなかを空かせて食べると本当に美味しいですよね。同じように野菜も食べられない時期があるから旬の美味しさに感動できるのです。子どもから生きる力の源である食べる感動を取り上げないで!
旬の野菜を食べることが、野菜を味わい、自分の健康を守り、旬の元気野菜を育てる農家を支えることになります。
栄養素で計算して、「旬じゃない野菜の栄養素が低いなら、その分たくさん食べたらいい」と思っている人がいます。これは全体を要素に分解して理解しようとする「要素還元主義」の欠陥から発生した間違いです。「野菜の生命力」全体で考えたら、生命力の弱い野菜をいっぱい食べて、私たちが強くなるなんてあり得ません。いよいよ弱り切ってしまうのではないでしょうか。旬を選ぶことは、私たちの健康に対して私たちの想像以上に決定的な意味を持つものかも知れません。
冬が旬の野菜の見分け方は、土の中か地面近くで育つ物です。葉と葉の間が詰まっていて、茎やつるがありません。反対に夏が旬の野菜は、葉と葉の間が伸びていて、その結果背が高いか、地面を這って伸びています。
ところで、夏が旬の野菜で、特に抗酸化力が高いにもかかわらず、多くの人が知らない野菜があります。それは、空芯菜(エンサイ)とハンダマ(スイゼンジナ)です。夏の葉物は、夏の強烈な光をもろに浴びる部分が収穫されます。だから相当な量の活性酸素消去物質を作っておかないと日焼けしてしまうのです。ですから夏の朝収穫した葉物野菜は特に抗酸化力が高いわけです。その葉物野菜の中でも、空芯菜は味にくせが無く、ほの甘く、キャベツの代わりに様々な料理に使え、青汁スムージーは夏の一仕事あとの最高のスタミナドリンクです。詳しくは夏ごろこの連載で説明します。今のうちに種を入手しておいてください。

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