・・畑に行くのが楽しみになるEM散布・・
水やりに「灌水チューブ」を使ってみよう!
「灌水チューブ」をご存じですか?
プロの農家さん、特にハウス栽培では必需品で水やり作業の負担を減らすためのパーツです。
前回(Part2 第18回 灌水その①)の話を読んで早速ポンプを購入した方でしたら、灌水チューブの設置も挑戦してみませんか。
では写真を見ながら説明しましょう。
灌水チューブとは、散水のための穴が等間隔に開けられたチューブ(ホース)の事です。<写真①>
設置をするには灌水チューブと<写真②>A、Bの接続パーツと<写真③>Eの25㎜の配管パイプと接続パーツが必要になります。
※配管パイプのパーツは種類が多く、写真はほんの一例です。
パーツをネジで接続するものは<写真②>Cのシールテープを巻いて接続部分の機密性を保ち、漏水を防ぎます。それ以外のパーツの接続は<写真③>Dのタフダインという接着剤で固定します。
Eの直管パイプは4mと長いので軽トラックで運搬するか、ホームセンターによっては無料で車を貸してくれるところもあるので購入前に問い合わせをすると良いでしょう。
私のハウスでの設置方法
通常は畝の真ん中に1本または両脇に2本灌水チューブを通します。私のハウスは<写真④>のように複雑になっています。それには理由があって、写真手前の方が奥よりも約20㎝高くなっているため、勾配のある圃場を均等に灌水できるように長さを変えてチューブを4本入れているのです。配管も1本を4本に分割して設置しました。
灌水チューブがセットできたらマルチを張って終了です。<写真⑤>
灌水チューブに水(EM希釈液)を送るにはエンジンポンプで送ります。
<写真⑥>では見えませんが、両脇のハウスの間にある通路の下に配管パイプを埋めています。
<潅水用配管全体図@EM柴田農園>
※灌水チューブはホームセンターではあまり見かけません。農機具屋さんへ行ってみましょう。
EMだからできる病害虫対策とは
日本の夏は高温多湿の気候なので無農薬で野菜をつくるのはとても難しいと言われています。特に梅雨時に発生する病害虫で大きな被害になることもよく聞きます。私の農園ではトマトの病害虫対策として動力噴霧機を使って朝晩EM散布をして対策しています。散布のコツは葉の裏までまんべんなくEM散布することです。<写真⑦>
動力噴霧機からノズルまでは専用のホースを使い、ノズルとホースは脱着可能にすると便利です。<写真⑧>
暑い日には野菜のあと自分の顔にEM散布する爽快感はたまりません。是非皆さんにも実感してほしいです。夏の農園見学会では子供たちにEM散布したら大はしゃぎでした。<写真⑨>
農薬散布とEM散布の大きな違いは?
そもそも、動力噴霧機は農薬を散布するための機械ですが、もちろんEM散布でも使用可能です。
ところが農薬散布とEM散布の目的は大きく違います。
農薬散布は病害虫が発生したら、殺菌剤や殺虫剤などの農薬を散布する、いわゆる対処療法です。
エコ・ピュア読者の多くの方たちは病気にならないために普段の生活において様々なことに気をつけていると思います。同様にEM散布をすることは、野菜たちを良い環境で元気に育てるための手法です。元気な野菜は病気になりにくく、虫たちも近寄りません。
私の農園では、野菜の中でも特に病害虫に弱いトマトを7月上旬から秋まで長期間収穫していますが、EM散布のお陰だと言ってもいいかも知れません。
スプリンクラーもあるよ
10年くらい前の事。沖縄のサトウキビ畑で衝撃を受けました。
晴天なのにどうしてここだけ雨が降ってるの?と立ち止まってしまいました。
しばらくすると雨がやみ・・・雨かと思ったのは作物への”散水”だったのです。これが「スプリンクラー」なのかと、じっと見つめてしまいました。スプリンクラーに近づくと、地面の配管から背丈ぐらいの支柱の上にスプリンクラーの小さな機械(金具)があるだけの意外と簡単な装置なので驚きました。これなら私にも作れる。
こうして私の農園でもスプリンクラーでEM散布がはじまりました。
毎朝、軽トラックにEMの希釈液500リットルタンクを載せて畑に着いたらホースを接続金具につなげてポンプのエンジンをかけるだけ。1分もあればできます。そして他の作業に取りかかることができるのです。
しかしEM散布をスプリンクラーに任せてしまうと次第に作物の様子を見ることが少なくなってしまいました。
私の農園は規模が小さいので、多少手間でも我が子のように可愛い野菜たちの顔色を見ながらEM散布をした方が良いのではと思うようになり、スプリンクラーでの散布はやめました。
とはいってもスプリンクラーは畑の規模や作物の種類・状況によってはとても効率が良いのでお勧めの方法の一つです。
先日、ある植物園に開園と同時に入場しました。そうすると場内の通路はすべて水浸しで、ところどころ水たまりが出来ていました。スタッフの方が「今、水やりをしたばかりなので足もとにご注意ください」と声を掛けてくれました。生き生きとした植物を見てもらうために毎日早朝から水やりをしているそうです。
私たちも水やりはお天気まかせにするのではなく、効率よく水やりをして元気な野菜を育てませんか!
<参考>EMで水やり 水中ポンプ編 │ (株)EM研究所
【柴田さんへの質問はこちらから】→<Web Ecopure お問い合わせフォームへ>
<PROFILE>
柴田和明(しばたかずあき) 会社退職後、約2年間栃木県農業大学校で農業を学び、その後トマト農家で1年間研修を受け就農。 柴田知子(しばたともこ) 会社退職後、東京農業大学(世田谷区)オープンキャンパスのカレッジ講座で野菜や果樹の育て方、スローフード、発酵などの講座を受講。EM柴田農園では、種まきから仮植、種取りなどの細やかな作業を担当。