EM柴田農園の50から畑人 | 柴田和明・知子

Part.2 第18回 灌水 その①

土づくりは灌水が決め手!

化学肥料や農薬を使わず、日本一美味しい野菜をつくろうと挑戦している男がいる。
ある日、彼は試行錯誤の末、普通の水ではなくEMという微生物を入れて灌水を試みた。
うぅーん、これならいける。このEMを使えば美味しい野菜づくりが出来ると確信したのだった。
NHKの「プロジェクトX」だったらこんな出だしだろうか。

EMは素晴らしい土壌改良資材ですが、使ってみて初めて効果が分かり、繰り返し散布することでさらに効果が上がります。

今回は、効率よく灌水(私の場合はEM散布)をするための話です。

毎日EM散布するって大変!

農園見学会などで、「EMを毎日散布しています」・・・と話をすると、皆さん驚きます。

家庭菜園をやっている方は、毎日ジョウロを持って畑に水やりするのは大変だと分かっているからでしょう。
でも道具を準備すると、意外と楽にEM散布ができるのです。
ちょっと頑張って、一歩進んだ野菜づくりをしませんか?
EM散布をした後のなんとも言えない爽快感は何度味わっても良いものです。
だから毎日EM散布をしたくなるのです。

道具をそろえて、らくらくEM散布

散布方法は後ほど詳しくお伝えするとして、まず用意するのが「ポンプ」です。ポンプは灌水作業の中心となる重要な機械で、いわば”心臓“のような役割を担っています。

<写真①>

片手で持てるエンジンポンプを私は愛用しています。
毎朝、軽トラックに500リットルのタンクとポンプを載せて畑にEM散布に行くのが日課です。<写真①>

このポンプは1分間に130リットル(最大吐出量)の能力を持っています。水を送るにはかなりの負荷がかかるので、出力に余裕のあるポンプを選びましょう。
ホームセンターでは様々なメーカーのポンプを販売していますが、たまたま売っていたのが「工進」というメーカーでした。
4サイクルエンジンで約3万円です。他に2サイクルエンジンもあります。

<写真②>

水を確保する方法は様々ですが、私の場合は家の脇に湧き水が出ているので、それをタンクに溜めて、そこから水中ポンプで吸い上げます。<写真②>

自宅の横にあるので、電源の確保は簡単です。この水中ポンプは電気で作動するので、スイッチひとつでいつでも水をくむことができます。

 

ポンプ(心臓)の次はホースや配管(血管)の準備

ポンプが心臓なら、ホースや配管は”血管”といったところでしょうか。
家庭の水道の蛇口から直接とる場合、いわゆる水道ホースの口径はほとんどが15㎜(内径)です。私の農園でも育苗ハウスには15㎜のホースを使いますが、広い畑では短時間に大量の水を散布したいので25㎜のホースや配管を使っています。
私が使っているエンジンポンプや水中ポンプの吸入や吐出口径は25㎜になっているので、15㎜のホースを使うには25㎜から15㎜に変換するパーツが必要になります。

散水ノズルと接続パーツについて

散水ノズルは種類が豊富で迷ってしまうほどあります。何種類か試してみましたが、中には目詰まりをおこしてしまうものもありました。

<写真③>

私が長年愛用しているのは<写真③>のものです。写真では25㎜のホースにはCが付いていて、AとBにはすでにDのパーツが取り付けてある状態です。
Aは直射型のノズル、Bはシャワータイプのノズルです。CとDは部品同士を簡単に脱着できるようにするためのパーツ(ワンタッチカップリングといいます)で、Cはホースや配管の先に、Dはポンプ本体やノズルに取付けて使用します。
私は、AとBのノズルにDを、25㎜のホースにはCのパーツを取り付けて、用途によって直射型とシャワー型の2種類のノズルを使い分けています。
ハウス内や露地など、どこでも散水用のノズルをワンタッチで脱着できるのでとても便利です。

<参考>第4回 EM柴田農園直伝!雑草を使った土づくり ~わたしは変人!あなたも変わり者になりませんか!!【 効率よくEM散布するコツ 】

EM散布の様子

広範囲に効率よくEM散布したい時や遠くまでしっかり届かせたい場合は直射型のノズル<写真④>を、葉面散布も兼ねて作物全体にまんべんなく噴霧したい場合はシャワータイプ<写真⑤>を使用します。

<写真④>
<写真⑤>

楽しく、効率よくEM散布するイメージはできましたか?

ホームセンターではポンプの売り場の他、散水ノズルは農業用品、配管や金具などは水道用品などパーツごとに売り場が異なります。ホームセンターを何軒か回るとお気に入りのポンプやパーツが見つかるかもしれませんよ。

次回はさらに一歩進んだ散布方法を紹介しますので、まずは、ホームセンターに足を運んでみましょう!

<参考>EMで水やり 水中ポンプ編 │ (株)EM研究所


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<PROFILE>

柴田和明(しばたかずあき) 会社退職後、約2年間栃木県農業大学校で農業を学び、その後トマト農家で1年間研修を受け就農。 柴田知子(しばたともこ) 会社退職後、東京農業大学(世田谷区)オープンキャンパスのカレッジ講座で野菜や果樹の育て方、スローフード、発酵などの講座を受講。EM柴田農園では、種まきから仮植、種取りなどの細やかな作業を担当。