前回は、野菜がどうして大切なのか?できるだけわかりやすく、旬の野菜の力について説明しました。でも、野菜だけではどうしても不足する可能性のあるもの、それが微量ミネラルです。
生命機能の必須栄養素
人の体内で何らかの役割を担っているミネラルは40種類もあるといわれていて、主な役割としては、病原菌やガン細胞を消去する免疫細胞を活性化したり、活性酸素を除去する酵素をサポートしたり、神経伝達物質の製造、筋肉のコントロール、内分泌ホルモンのコントロールなど、生命の根幹的な機能に必須の栄養分です。ですからこれが不足すると、心と体のさまざまな調節機能に不調を来たし、さまざまな心と体の不調、そして病気となって表れたり、さまざまな難病の原因のひとつになるわけです。
特に強調したいのは、ミネラルが私たちの心の状態に密接に関係しているということです。私たちの神経細胞間の情報のやりとりに使われる神経伝達物質は100種類もあると言われ、喜怒哀楽を始めさまざまな複雑な感情や、思考、記憶をコントロールしています。この神経伝達物質をすばやく必要量作るために絶対に必要なものがミネラル。だから急増しているうつ状態や統合失調症、発達障害が、現代人のミネラル不足も一因であることは間違いありません。この大切なミネラルは、当然元気な旬の野菜にはたくさん含まれているはずなのですが、酸性土壌の日本ではミネラルを吸収しにくく、特に微量に必要なミネラルについては、野菜だけでは不足する可能性が高いのです。EMなど野菜の根と共生する微生物の力を活用して育てた野菜なら、ミネラル含量も高くなります。
また、最近はカット野菜や水煮野菜を食材に使うため、カルシウムやマグネシウムなどの主要ミネラルでさえも調理の過程ですでに大量に流失しています。結局外食や半調理済み食品に頼る家庭では主要ミネラル微量ミネラルすべて不足しているはずです。(このあたりの話題は後日詳しくお伝えします)
海のミネラル
では、それをどうやって補うか?それは海の生命とつながることだと思います。約30億年間、地球には雨が降り続け、土のミネラルは少しずつ溶かされ、海に流れました。海からは水蒸気だけが蒸発し、それがまた雨となって土のミネラルを溶かして海に流れ続け、ミネラルは海に次第に濃縮してきたわけです。そして私たちの生命は、その活動に必要なミネラルがすべてそろった海からしか生まれることはできなかった。まさに、海は命の母なのです。
だから、わかめや昆布、のりにひじき、貝にえび、いろんな海の幸をいただくわけですが、特に私たちと同じ脊椎動物である海の魚を頭ごと全体いただけば、私たちに必要な微量ミネラルをバランスよくいただけます。
頭ごと全体を食べられる魚と言えば、イリコやメザシ、ギビナ(キビナゴ)、シシャモ、トビウオなどの小魚です。私が小さかった頃、母に「頭がよくなるには、魚の頭を食べなさい」と言われました。昔の日本人は、小魚を頭ごと食べることの重要性を知っていたのですね。
例えば、煮物料理や味噌汁など、煮干しをダシに使うことは多いと思います。するとアミノ酸の仲間は十分溶け出すでしょうが、不溶性のミネラル類はほとんど出てこないはずです。ですからダシに使った後もそのまま入れておいて、頭ごと食べてください。美味しいですよ。小さい時から始めたら、何の抵抗もなく食べるようになることが多いです。昔と違って加工食品に頼ることも多い現代人は、そこまでしないとミネラル不足になってしまいます。
微粉末にして食べる
頭ごと食べることを嫌がるようでしたら、粉末にして調理の時に振りかけてください。原子量の大きい微量ミネラルを、食べた食材から私たちの体が吸収するのは大変困難なことです。最初から微粉末にして食べることは消化吸収する際の表面積を飛躍的に増やし、吸収率が格段に高まることになります。
実際、煮干を食べさせてそれなりに元気だった子どもが、煮干の粉末を調理に振りかけるようにしら、他には何も変えていないのに、イライラやぐずぐずまでが数日後にははっきりと減ってしまって、その後もずっと続いているといった事例も聞くようになりました。
第1話の中で、仁尾小学校の給食改善による奇跡的な成果をお伝えしましたが、その1番の理由は、トビウオやイリコの頭ごと微粉末を調理の最後に入れていることだと考えています。給食費を上げられないので、本当はもっと入れたいのですが、実際には1回の給食で1人あたり約1g、それを週5日の内の3日しか入れていないのです。それなのに目覚ましい成果が表れているのは、微粉末にしたこととおなかを発酵させる取り組み(後日詳しく報告します)による吸収率の大きな違いによるものと考えています。
実はあれから後日談があって、子どもだけではなく学校給食を食べ続けた先生方に変化が表れてきていたのです。以下は先生方から出てきた声です。
「便秘だったのが、毎日出るようになった」
「チョークの粉が舞うとアレルギーが出ていたのに、出なくなった」
「2週間以上たって爪を切っていたが、今は2週間たつ前に切らないといけなくなった」
「散髪のタイミングが1か月半に1回だったのが、今は1か月に1回散髪しないといけなくなった」
「冬になると手足がヒビ割れしていたのだが、割れなくなった」
散髪回数が増えるという現象は、仁尾小学校に限ったことではなく、食改善を実践した家庭の子どもによく起きることです。ただ、私を含めて比較的高齢の男性にはその効果がほとんど無いのは残念なところですが・・・。爪切り回数には変化がありましたが・・・。
小魚は、フライパンで炒ったり、オーブンで軽く焼いてからミルサーにかけると粉末になりやすく、香りも良くなります。粉末の利用の仕方として、ご飯のふりかけに混ぜて食べるのもお勧めです。トビウオ、イワシなどを頭ごと、さらに昆布、シイタケ、ごま、そして無農薬菌ちゃん野菜のダイコンやニンジンの葉など、なんでも粉末にして混ぜてふりかけにすると、子どもたちは喜んで食べます。ミネラルのパワーって、すごい!