新・夢に生きる | 比嘉照夫

第177回 EM活用のオーガニック農法教本

■<書籍紹介>Organic Farming自然と人間の調和を求めて
大賀昌著(2022年 カナリアコミュニケーションズ出版)

この本は、前著の「メコンの大地が教えてくれたこと」の完成本とも言えるもので、「確たる思想は確の如し」のモデル的内容となっています。別の表現をすれば、事業の成功の秘訣のポイントを教えてくれています。すなわち、志の高さを常に磨きつつ、利他の究極を歩んでいることに尽きます。

化学肥料や農薬の有害性の本質を十分に理解し、有機農業に取り組んだ例は無数にありますが、その大半が昔の有機農業を工夫したものです。

このレベルでは経験則を越えられず、自給自足ならいざ知らず、自由競争で事業として有機農業を拡大発展させることは困難です。

農業を通し、環境問題や人間の健康問題を解決し、ビジネスとして成功させるという大賀さんの確たる思想と行動力がEMと結びつき、次元を高めた成果を上げています。

EMの原点は、「安全、快適、低コスト、高品質、善循環的持続可能」であり、「自己責任原則と社会貢献認識」の上に立脚し、EMを使うことが真のボランティアだという位置付けをしています。

すでに明らかなように、EM技術は量子の世界からエネルギーを集約する万能性を有しており、すべての分野に応用が可能となっています。

大賀さんは、EMのこのような本質を応用し、表紙の帯にあるように、「農業大国タイで、日本人が画期的なオーガニック農法で大成功!」”その技術を世界に広げている著者の軌跡とそのビジョンに迫る”挑戦を続けています。

ご存知のように、タイはEM王国的な存在ですが、その大半が従来の方法の経験則であり、そのレベルを越えるためには更なる工夫が必要です。大賀さんの事業は、そのハードルに対する答えを出しており、これからのタイ国の農業に対しても多大な貢献が出来る態勢となっています。

あらゆる場面に良質のEM活性液を施用し続け、環境全体をEM化することがEM活用の究極ですが、そのためには、次のグラビトン農法やアマゾンに存在するテラ・プレタ技術を上手に活用せねばなりません。

本書は、まだそのレベルには達していませんが、大賀さんはEMの万能性を確信しており、この基盤の上で取り組めば、地球の問題の基本を解決するモデル作りも可能であり、今後の展開に期待しています。

<自由研究紹介>生ゴミの堆肥化について

特定非営利活動法人 NPO緑の会のサイトに、兵庫県の中学生が取り組んだ「EMを使用した生ごみ堆肥について」の自由研究が紹介されています。
この自由研究は、生ゴミを宝に変えるというEMの力を真に理解するとともに、発想が世界的規模の環境問題解決に対する答えを出しています。中学生でこのような経験をすることは、今後の人生の姿勢を発展的方向に誘導するものであり、将来が楽しみです。

<特定非営利活動法人 NPO緑の会HP参照>
https://npo-midorinokai.info


<PROFILE>
ひが・てるお / 1941年沖縄県生まれ。EMの開発者。琉球大学名誉教授。国際EM技術センター長。アジア・太平洋自然農業ネットワーク会長、(公財)自然農法国際研究開発センター評議員、(公財)日本花の会評議員、NPO法人地球環境・共生ネットワーク理事長、農水省・国土交通省提唱「全国花のまちづくりコンクール」審査委員長(平成3年~平成28年)。著書に「新・地球を救う大変革」「地球を救う大変革①②③」「甦る未来」(サンマーク出版)、「EM医学革命」「新世紀EM環境革命」(綜合ユニコム)、「微生物の農業利用と環境保全」(農文協)、「愛と微生物のすべて」(ヒカルランド)、「シントロピーの法則」(地球環境共生ネットワーク)など。2019年8月に最新刊「日本の真髄」(文芸アカデミー)を上梓。2022年、春の勲章・褒章において、瑞宝中綬章を受章。