新・夢に生きる | 比嘉照夫

第205回 実用化が始まったEM技術による土壌消毒剤不使用栽培

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去る324日付で、下記のような嬉しいメールと素晴らしくきれいで美味しいサツマイモ(紅はるか)をいただきました。

比嘉照夫先生

比嘉先生の特段の御理解と、御協力をいただき『EMそだち』の商標更新手続きが完了しました。本当にありがとうございました。

薄謝で恐縮でございますが、我が組合で、最先端のEM技術で育てたさつまいもを送らせていただきます。

さつまいもの生産者は、菅谷順子さん。今は亡き父親菅谷正一さんは、神奈川県鎌倉市での、先生の講演会時に、先生から特にさつまいもにEM3号の活用法を教えていただき、EMを積極的に実践された方です。正一さんの娘に当たる順子さんは、そういう父親の姿を見て育ち、父親亡き後、自らEMの実践研究を重ねて来ました。

さつまいもの栽培は、茨城では100%と言っていい程クロールピクリンやDD剤の土壌消毒剤無しでは栽培出来ませんが、彼女は、EM研究所の津曲徹社長さんの御指導もいただきながら、塩入りEM活性液・EM3号・EM炭等を活用し研究を重ねること5年。

そして土壌消毒剤無しでも、さつまいもは栽培出来るEM技術の確立に成功したのです。おそらく全国に例のないさつまいもとも思われます。更に、ありがたいことにこの度、行方市のふるさと納税にも採用されました。

比嘉照夫先生。

EMは実践すればする程おもしろい。そして、奥が深い。実感です。

先生から、御指導いただいて来たEM技術から生まれた“はるかにおしいさつまいも”お召し上がりいただければ幸いに存じます。

令和7324日 
茨城県北浦みつば連合出荷組合 石川幸一

https://kitaura-mituba-rn.jp より
サイズも大きくきれいなサツマイモが届きました

 

北浦みつば連合出荷組合は、EMが普及し始めた1988年からイーエムジャパン(現:EM生活)やEM研究所、EM研究機構の協力で様々なEM技術の実用化を進めています。その成果は着々と上がり、最後の難関であった土壌消毒剤不使用技術を一般化し、2025年のふるさと納税出品に選ばれるレベルを公開しています。

本件は、EM研究所の津曲氏と今村氏による詳しい報告ですでに紹介済みですが、さらに特筆すべき点として、結界技術の併用により野生動物による被害も完全に抑えられ、年々収量・品質ともに向上し、コストも大きく削減されていることが確認されています。

加えて重要なのは、土壌中に” EMと親和性の高い微生物の大ジャングルが形成されるため、表土の流出防止・地下水の保全と浄化・大気の浄化など、環境改善効果が年々高まっているという点です。

これが意味するのは、農業を通して積極的に環境を守り、その田畑で働く人々の健康を支え、消費者の健康にも貢献できるということであり、まさに「農の本質」に直結する営みであるということです。


【参考】

サツマイモ農家も実感!EMバイオ炭の効果より一部抜粋>

EMバイオ炭を使用した3年間のまとめ

2020年から3年間続けていただいたEMバイオ炭の施用結果について、以下のようにまとめました。
EM資材については、どの年も栽培中に最低3回は施用してくださっています。

この実験で炭と併用したEMは、EM活性液ですが、EM・1原液を薄めて使用した場合でも効果は同様です。

  • 1反5畝の畑の5列のみ土壌消毒をせず、苗の定植後の畝間にEMの施用と併せてEMバイオ炭を施用。
  • 畑の周りには結界を設置。

  • 畝間にEMバイオ炭を施した方は、沢山の根が自由奔放に根を伸ばしていた
  • 細い芋しか収穫できず。

 

  • マルチャーで畝立てをする前にマルチを張る所に筋でEMバイオ炭を施し、EM活性液をかけて畝作り。
  • 栽培中は塩入EM活性液とEM・3Sを葉面散布。

  • EMバイオ炭を施用した畝も土壌消毒をした畝も、肌がきれいなサツマイモ。
  • EMバイオ炭を施用した方は小さいが比較的大きさが揃っていた。

 

  • 組合で焼いた整流炭ではなくEMグラビトロン炭を使用。
  • マルチャーで畝立てする前にEMグラビトロン炭400リットルとEM活性液を400リットルずつ筋状に施用。
  • サツマイモの根のそばにEMグラビトロン炭とEM活性液が在るように畝を準備。

  • 夏場に雨が少なく、他のサツマイモ畑では生育が不順だったが、炭を施した圃場は生育順調。
  • 大きさが揃ったきれいな肌の芋が収穫できた。
  • 収量は約3.5t。

 

バイオ炭とEMの併用で持続可能な農業を

農林水産省が推し進める「みどりの食料システム戦略」は、持続可能な農業を目指し、環境負荷の低減や生産性の向上を図るための取り組みです。この取り組みの中では、炭素貯留を促進するためにバイオ炭の施用が勧められていますが、有用な微生物を添加した炭は炭素貯留以上の効果をもたらすと私は考えます。

比嘉教授は「自然の豊かさの役割を担っているのは微生物を中心とする土壌の生物多様性であり、地下に微生物を中心とするジャングルができると、地上部もジャングルになる。一般的に微生物といえば分解者と思われているが、光合成細菌や窒素固定菌、リン溶解菌をはじめ、生産者としての微生物も多数あり、この生産者的微生物と発酵力の強い微生物(酵母、乳酸菌)の組み合わせは養分を生み出す力を持っている」と述べています。

 今回のサツマイモ農家での取り組みから、バイオ炭とEM、特に光合成細菌との併用は今後のEM技術の根幹になると感じました。

皆さんもぜひお試しいただき、炭と光合成細菌の相乗効果を実感してみてください。

<記事全文はこちらから↓>https://www.ecopure.info/series/ima_tsuma/

 

 


ひが・てるお/1941年沖縄県生まれ。EMの開発者。琉球大学名誉教授。国際EM技術センター長。アジア・太平洋自然農業ネットワーク会長、<公財>自然農法国際研究開発センター評議員、<公財>日本花の会評議員、NPO法人地球環境・共生ネットワーク理事長、農水省・国土交通省提唱「全国花のまちづくりコンクール」審査委員長<平成3年~平成28年>。著書に「新・地球を救う大変革」「地球を救う大変革①②③」「甦る未来」<サンマーク出版>、「EM医学革命」「新世紀EM環境革命」<綜合ユニコム>、「微生物の農業利用と環境保全」<農文協>、「愛と微生物のすべて」<ヒカルランド>、「シントロピーの法則」<地球環境共生ネットワーク>など。2019年8月に最新刊「日本の真髄」<文芸アカデミー>を上梓。2022年、春の勲章・褒章において、瑞宝中綬章を受章。