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第204回 フィリピンにおけるEMの普及状況

フィリピンにおけるEM の普及は、APNAN(アジア太平洋自然農業ネットワーク)の発足当初から行われ、政府のフィリピン稲作研究所<PhilRice(www.philrice.gov.ph/)>の職員の琉球大学大学院留学や、多くの研究機関が様々な協力を続けています。

以下に紹介する福垣内(ふくがうち)氏の報告にもあるように、民間の取り組みとして、フィリピンのルソン島北部にもタイのサラブリに自然農法国際センターのような研修所が設立され、EMの普及は着実に進められています。

福垣内氏は、1996年に(株)EM研究機構(EMRO)へ入社し、以来、EMの海外普及に尽力しています。
大学卒業後は青年海外協力隊(JOCV)としてアフリカ・ガーナで活動し、入社後も一貫して海外での活動を続け、特にアフリカでのEM普及に力を注ぎました。
2012年にはEMROマレーシアの設立準備に関わり、現在はその運営を担いつつ、マレーシアを拠点に、オーストラリア、ニュージーランド、フィリピン、インドネシアなど、幅広い地域でEM事業をサポートしています。
福垣内氏のこうした活動は、EMの可能性を広げる大きな原動力となっています。

フィリピンでは、水産や畜産への活用も進められており、水質浄化には大々的に使われています。特に、マニラ市や政府主導によるマニラ湾やラグナ湖の浄化には、EMが公の予算で積極的に使われています。

今回の記事は、その波及効果を示す事例であり、多くの地域で悪臭対策や環境衛生対策にもEMが使われるようになっています。

以下に福垣内氏の報告をご紹介します。

【福垣内氏の報告】
  1. Harbest社訪問レポート

    Harbest社はフィリピンに拠点を置き、農業機械、肥料全般、種子その他の農業関連資材を幅広く取り扱う総合農業資材会社です。近年は大学と共同でバナナや花卉の組織培養事業にも進出し、自社の研修農場で既存農家や新規就農者の農業トレーニングなども行っています。

    代表のトトさん(Arsenio Toto Barcelona氏)は、コロナ禍で健康を大きく損ない、生死をさまよう状態に陥りましたが、昨年から今年にかけて健康を順調に回復しています。現在、会社の経営は息子さんにバトンタッチし、トトさんは農業研修トレーニングセンターや組織培養のトレーニング施設など社会貢献や教育活動に注力されています。

    Harbest 公式サイト:https://www.harbest.com.ph/services
    販売店:https://www.harbest.com.ph/contact

  2. 農業研修トレーニングセンターについて
    現在はフィリピン国内の農家を対象にワークショップを行っていますが、将来的には海外からの研修生の受け入れも視野に入れています。、EMROには、広報活動や講師派遣など、研修のサポートを期待されています。
    研修施設はマニラ北部の農業地域にあり、最大100名の研修生を受け入れ可能です。また、アジア圏内には EM農業を学べる施設が複数あり、EMRO がそれらの研修センターを紹介・サポートできれば、より充実した研修環境を提供できるのではないかと考えられます。
EM活性液、EM・1®及び、EM Red Seed製造
Ricky氏(中央左男性)とEMRPI職員
<左>EMRPIパートタイムスタッフ、<右>ph及びECメータの校正方法を確認
<左>Harbest事務所、<右>Harbest室内用清掃用EM
<左>Harbest社内の組織培養実験室、<右>大学の研究室も授業に使用

 

【Daily Tribune 2024年7月1日公開記事】

https://tribune.net.ph/2024/06/30/throwing-bokashi-balls より

<以下、自動翻訳による要約>

ボカシボールを投げる

バイオテクノロジーは、有益な細菌を使用して汚染物質を排除する有機的な方法を刺激します。

バランガ市、バタン‐SM市バタンと環境天然資源省(DENR)のボランティアは最近、この都市のイバヨ川に8,000個のボカシボールを投げました。

イバヨ川はマニラ湾の支流のひとつであるため、マニラ湾の回復を目的としたプロジェクトの一環である。

イベントに参加したDENRのラルフ・パブロ地域事務局長によると、ボカシボールは川のプロバイオティクスの役割を果たすという。

「この泥団子には、水中の毒素を分解し、溶存酸素を増やし、糞便性大腸菌を減少させる活性微生物が含まれています」とパブロは語った。

「この清掃活動は、環境修復が急ピッチで進む未来に対する私たちの信念の証です。私たちは環境の管理者であると同時に、持続可能な未来の設計者でもあります。革新的な解決策を採用し、地域社会が行動を起こすよう教育し、力を与えるのは私たち次第です」と、1988年に当時のコラソン・C・アキノ大統領が署名した大統領布告第237号に基づいて定められた「フィリピン環境月間」の一環として清掃活動に参加したDENRバターン所長のラウル・ママック氏は述べた。フィリピン環境月間2024のテーマは “Our Environment. 私たちの未来 “である。

ボカシボールとは?

ボカシボールがなぜそう呼ばれるのかは不明だが、その主要成分である微生物接種剤またはスターターカルチャーEM-1(Effective Microorganisms)を開発したのは、日本の比嘉照夫博士である。EMには、発酵プロセスを助ける有益なバクテリアや菌類が含まれている。ボカシは、生ゴミや庭ゴミに微生物や発酵フスマの粉、つまりEM菌を加えて発酵させたものである。廃棄物が発酵すると、栄養分と有益な微生物でいっぱいの液ができる。

ボカシボールの固形物は漬物のような外観になり、しばしばふわふわした白いカビが生える。ボカシの嫌気性発酵が完了すると、かなり酸性の強い状態になる。その後、発酵したボカシは好気性の後発酵に入り、急速に分解が進む。約半年後には見分けがつかなくなり、種ボールの完成です。

では、なぜボカシボールを使うのか?

「泥団子」とも呼ばれるボカシボールは、世界中で水処理に利用され、成功を収めてきた。ボカシボールは、その中に含まれる消化された汚泥を分解することによって、池や淀んだ水、流れる水の底泥の強度を低下させる。ボカシボールが川底に落ちると、EMが放出され、沈殿物中のすべてのポジティブな微生物を補完し、有機および無機化合物の分解を促進する。ボカシボールは、富栄養化を防止したり、徐々に解消したりするのに役立つ。

このように、ボカシボールは水質を大幅に改善し、魚やその他の池の生き物を健康にします。

(元記事:https://www.indiafarm.org/agriculture/organic-farming/organic-farming-innovations/

 

 

 


ひが・てるお/1941年沖縄県生まれ。EMの開発者。琉球大学名誉教授。国際EM技術センター長。アジア・太平洋自然農業ネットワーク会長、<公財>自然農法国際研究開発センター評議員、<公財>日本花の会評議員、NPO法人地球環境・共生ネットワーク理事長、農水省・国土交通省提唱「全国花のまちづくりコンクール」審査委員長<平成3年~平成28年>。著書に「新・地球を救う大変革」「地球を救う大変革①②③」「甦る未来」<サンマーク出版>、「EM医学革命」「新世紀EM環境革命」<綜合ユニコム>、「微生物の農業利用と環境保全」<農文協>、「愛と微生物のすべて」<ヒカルランド>、「シントロピーの法則」<地球環境共生ネットワーク>など。2019年8月に最新刊「日本の真髄」<文芸アカデミー>を上梓。2022年、春の勲章・褒章において、瑞宝中綬章を受章。