新・夢に生きる | 比嘉照夫

第198回 着々と進化する青空宮殿のEM 自然農法(8)

EMの元素転換力による塩の肥料化

これまでに様々な機会にEMの元素転換力による塩の肥料化について説明しましたが、塩害は現実のものであり、塩類集積による砂漠化の増大は続いています。

この常識に逆らって、塩がEMの元素転換力によって肥料に変えられると言っても、過去におけるケルブラン説に対し、元素転換はあり得ないとしてエセ科学の代表とされていたため、EMも同類として扱われていました。

2011年の福島の原発事故をきっかけに、EMに植物の放射性元素の吸収を抑制したり、放射能を消滅する機能があることが科学的に証明されました。その結果、ケルブラン説は正しいことになり、今や、EMは科学の最先端に位置するようになりました。

本来なら、世界中が大騒ぎする内容ですが、科学界のエセの代表格であったケルブラン説や、EMを認めることが社会的に不都合な真実となっているため、科学界やマスコミは沈黙したままです。

この成果を社会的に容認させることは極めて困難であり、応用面で必要不可欠な技術として普及する以外に選択肢はありません。

中東、中国、アフリカ、米国等々の塩類集積地におけるEMの効果はすでに実用化され、大規模に広がっています。このレベルを更に進化させ、塩を直接的に肥料として活用する技術は更に重要であり、本連載はもとより、DNDにも実用化の例を示しましたが反応は全くありません。

国際紛争による化学肥料の不足は、将来的にも解決する見通しはなく、廃棄有機物の利用等が広がっていますが、塩を肥料として使えるようになれば、この問題を根本から解決することになります。

青空宮殿では、10年以上も前から塩を肥料として使っていますが、昨年の台風6号の大きな被害対策に塩の量を増やし、本格的なバナナ栽培に取り組んでいます。

青空宮殿のバナナは、これまでEM生ごみ発酵液と塩を10a当たり年間50㎏施用し、それなりの成果が上がっていましたが、塩の施用量の限界を確認する必要がありました。バナナは、水分さえあればもともと塩分に強い性質がありますので、年間の施用量を200㎏にし、6回に分けて分施しました。

通常は塩とEMを施用すると15~20日くらいで塩の肥料効果が現われ、30日くらいでピークになりますので、60日間隔で施用し様子を見ています。

<写真1>

先ず果房がひとまわり大きくなりました<写真1>。

<写真2>

次に幼果が予想外に肥大しています<写真2>。

<写真3>

果房と果房の間が十分に開いて果実が伸び伸びしています<写真3>。

<写真4>

そのため、果実も伸び伸びと成長してきました<写真4>。

<写真5>

収穫時のバナナで20㎏弱となり、EMショップ(暮らしの発酵ホテル内)のお客様から大好評です<写真5>。

<写真6>

青空宮殿のバナナは、超密植となっていますので、次世代の株が育たたないのではないかと懸念されましたが、<写真6>のように親株のまわりに健全な新株が育っています。

このバナナ園は当初、親株に付いていたバナナゾウムシ、センチュウ、カビ病や炭疽病等々に悩まされ続けていました。EMを根気強く使い、塩の活用によってすべての不具合が消えてしまいました。

この結果は、完全無農薬栽培としてすぐにも普及できますので、とりあえずはEM研究機構の関連農場に広げ、一般化したいと考えています。

ウイルスフリーとなった沖縄のパパイヤ

2024.09.06_「雄」パパイア結実に驚き 沖縄タイムス社提供

<PROFILE>
ひが・てるお/1941年沖縄県生まれ。EMの開発者。琉球大学名誉教授。国際EM技術センター長。アジア・太平洋自然農業ネットワーク会長、<公財>自然農法国際研究開発センター評議員、<公財>日本花の会評議員、NPO法人地球環境・共生ネットワーク理事長、農水省・国土交通省提唱「全国花のまちづくりコンクール」審査委員長<平成3年~平成28年>。著書に「新・地球を救う大変革」「地球を救う大変革①②③」「甦る未来」<サンマーク出版>、「EM医学革命」「新世紀EM環境革命」<綜合ユニコム>、「微生物の農業利用と環境保全」<農文協>、「愛と微生物のすべて」<ヒカルランド>、「シントロピーの法則」<地球環境共生ネットワーク>など。2019年8月に最新刊「日本の真髄」<文芸アカデミー>を上梓。2022年、春の勲章・褒章において、瑞宝中綬章を受章。