露地トマトの長期栽培
前回はトマトのEMによる不耕起栽培について説明しました。この場所は、固い重粘土層の上にサンゴ石灰岩を敷きつめてローラーで転圧し、駐車場として使用していました。この場所のサンゴ石灰岩をツルハシで破砕し、石を取り除いて畝を作りました。
栽培という見地から考えるととんでもない土壌ですが、永久植栽マス(参考:「第182回 青空宮殿の試行錯誤(2)」)をライン状に5ヶ所設置しています。前作のゴーヤーが台風6号の被害でほぼ全滅(8月下旬)した後に市販の50円のトマト(ファースト)の苗を定植し、訪問者をびっくりさせる楽しい結果となりました。
永久植栽マスの上に植えたトマトは、樹勢が衰えることもなく、収穫後に側枝が次々に出て安定的な長期取り株になりましたが<写真1>、その間に植えたトマトは再生力が弱く、葉や側枝が少なく禿げ上がってしまいました<写真2(黄色で囲んだ部分)>。
同じ量の発酵液肥をやったのですが、永久植栽マスの効果は抜群です。この結果から、間に植えたトマトの株元に、植栽マスに入れた量(ひと握り)のEMグラビトロン炭※を施用しました。その結果、<写真2>の中心(赤い線で囲んだ部分)に写っているように、株元から元気な側枝が数本発生し、<写真3>のように勢いを取り戻しています。
※EMグラビトロン炭とは岩手コンポスト(株)の敷地に設置されたEMグラビトロン炭化システムで製造されている有機JAS適合のEM整流炭のこと。
この元気な側枝を主枝として生かし、長期栽培に取り組むことにしました。この列のみで、600個以上のトマトの収穫となり、まずまずの成果となりましたが、更新2期目は1,000個を目標にしています。
このまま行けば、4月後半で終わる予定ですが、株の勢いを保持できれば6月まで栽培を続け、場合によっては真夏にも挑戦したいと考えています。老化した葉は次々に除去し敷草なみに活用し、仕立てを一切行わず新芽を更新していくという萌芽方式です<写真4>。トマトは病気にならず、肥料不足にならなければ、果樹みたいに多年性にすることも可能ですので、今後が楽しみです。
肥料は生ゴミや雑草を発酵液肥にして使っていますが、EMの密度を上げるためと肥効を高めるため、塩や米ヌカや糖蜜を0.2~0.5%くらい加えるだけです。材料は減った分を足すやり方で、連続培養的にしています。その液肥を週に1~2回、株の周りに1~2リットル施用しています。(参考:「第181回 青空宮殿の試行錯誤」)
EM研究機構はもとより、世界の多くの研究機関でEMの土壌微生物相の研究が進められています。結論は、「EMを使い続けると有用な蛍光性放線菌が増え、多様化している」ことに行き着き、最近のテラプレタの微生物相も同じ様相であることが明らかとなっています。
すなわち、EMを使い続けると極めて短期にテラプレタ様土壌になるということであり、EMグラビトロン炭や結界技術で当初からそれを上回る結果になるということです。(参考:「おしえて!しんたにさん 『テラ・プレタや発酵合成型土壌をつくるのに役立つEM整流炭のお話し』」)
不耕起でEMを使い続け、炭を併用すると土壌中の光合成細菌が増えることも明確になっています。同時に、30㎝以下の下層にも好気的な微生物が存在するようになり、硬い粘土層にも増える力があり、土壌が微生物の固まりのような微生物相となります。国内はもとより、世界中の土壌微生物の質と量のコンテストにおいて、圧倒的チャンピオンはEMを施用し続けEMが増えるように管理された土壌であることを再認識すべきです。
沖縄の花々と鳥達
沖縄各地でコスモスが花盛りです。1月下旬~3月まで続きます。かつては全く見えなかった風景ですが、EMグラビトン結界(2014年)後に土壌は年々改善され、今では普通の管理で果物が実り、花々が咲き誇るようになりました。
「農道に夜たたずんでいた…」 フクロウの仲間を探して偶然遭遇 沖縄・読谷村にシロアゴヨタカ
https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/1296224
ひが・てるお / 1941年沖縄県生まれ。EMの開発者。琉球大学名誉教授。国際EM技術センター長。アジア・太平洋自然農業ネットワーク会長、(公財)自然農法国際研究開発センター評議員、(公財)日本花の会評議員、NPO法人地球環境・共生ネットワーク理事長、農水省・国土交通省提唱「全国花のまちづくりコンクール」審査委員長(平成3年~平成28年)。著書に「新・地球を救う大変革」「地球を救う大変革①②③」「甦る未来」(サンマーク出版)、「EM医学革命」「新世紀EM環境革命」(綜合ユニコム)、「微生物の農業利用と環境保全」(農文協)、「愛と微生物のすべて」(ヒカルランド)、「シントロピーの法則」(地球環境共生ネットワーク)など。2019年8月に最新刊「日本の真髄」(文芸アカデミー)を上梓。2022年、春の勲章・褒章において、瑞宝中綬章を受章。