新・夢に生きる | 比嘉照夫

第191回 着々と進化する青空宮殿のEM自然農法

コロナウイルスによるパンデミックで、EMの普及活動も変革せざるを得ない状況となりました。様々な講演会や会議は、従来の対面的な方法からzoom方式となり、経費や時間の大幅な削減となりましたが、根本的な変革に取り組む機会が与えられました。

EMは、その量子的性質を活用すれば万能性を発揮しますが、この世の中に「万能は存在しない」、「万能はエセ」という常識が根気強く残っています。

今やEMは農業や環境の分野において世界中で使われるようになりました。「EMはエセ科学」という過去の想像を絶するEMバッシングは、いつの間にか消えてしまいました。

EMの量子力学的な万能性を活用するためには、周年を通じその機能が向上する使い方がポイントになります。すなわち、講話や研修会でなく、それを実証する現場を充実せねばなりません。

EM研究機構NPO法人地球環境共生ネットワーク(U-ネットで推進しているユニバーサルビレッジのモデル作りは、EM活動の進化した展開となりますが、この基本は、これまでの農耕という慣習的な方法にEMを活用することからEMの万能性に合わせた農法に変えるという天道説的改革が肝要です。

最も重要なことは、土壌の微生物相をEM化し、周年に渡って安定的に管理することです。そのためには、雑草や落葉や生ゴミ等々の有機物を薄く幅広く敷き、その上からEM活性液を水で50~100倍に薄めて全体が湿るように施用します。同時に、不耕起連続栽培を続けます。寒い冬は雪が積もる前に10a当たり塩を50~100㎏、EM活性液を100~500リットル施用すれば冬でも微生物相を改善できるようになります。

青空宮殿では、以前紹介した結界機能を持った永久植栽マス(第182回参照)を作り、トマトやキュウリ、ナス等の連続栽培を行い、不耕起に徹しています。ジャガイモ等は畝溝にEMボカシ、EM活性液を施用し、その上から5㎝くらいの草を被せるだけの簡単な方法でゴロゴロ栽培も可能となります。

<写真1>は第189回で紹介したトマトです。
すでに500個以上も収穫しましたが、トマトの垣根になっています。

<写真1>路地のEM自然栽培の全景。ヘリはリーフレタス、内側には落葉が敷かれています

<写真2>はトマトの結実部です。

<写真2>トマトの結実部

トマトの株元にはレタスを植え、<写真3>のように古い葉を除去し表面に敷いています。

<写真3>写真1のトマトの根元に植えられているレタス。画像中央に置かれているのはEM焼却灰と塩を半々にした塩ダンゴ

画像の中央あたりにあるのは、EM整流灰(無煙炭化器でEM整流炭を作った際、底に残る灰)と塩を半々にした塩ダンゴです。

<写真4>EM整流灰。旧Web Ecopure 第138回より

その灰を塩と混合し、EM活性液で水分調整してダンゴ状にします。
EM整流灰がない場合は、EM整流炭(無煙炭化器を利用した整流炭のつくり方)やEMグラビトロン炭を代用としてください。

<参考>旧Web Ecopure「新・夢に生きる」第138回 炭の多様性の応用第139回 炭の多様性の応用2

これを随時施用すると<写真5>のように多年性的となります。

<写真5>

<写真6>の中央の列はジャガイモの自家採種の実験です。植え付けて同時に5~6㎝の厚さで雑草マルチをしました。

<写真6>

<写真7>は1ヶ月後の状態です。この方法は、サトウキビ収穫後の間作として応用できますが、ゴロゴロ植えと同様に掘らずにイモを収穫することができます。

<写真7>

台風6号後の沖縄の花々と鳥達

台風6号の件は既に報告済みですが、その後の植物の回復は早く、これまでの経験ではあり得ない(通常だと回復に2~3年)現実が多々あり、その一部を紹介します。
今年の冬も様々な迷鳥が沖縄に来ています。カワウの集団も次第に大きくなっています。エサが豊かになった証拠です。

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<PROFILE>
ひが・てるお / 1941年沖縄県生まれ。EMの開発者。琉球大学名誉教授。国際EM技術センター長。アジア・太平洋自然農業ネットワーク会長、(公財)自然農法国際研究開発センター評議員、(公財)日本花の会評議員、NPO法人地球環境・共生ネットワーク理事長、農水省・国土交通省提唱「全国花のまちづくりコンクール」審査委員長(平成3年~平成28年)。著書に「新・地球を救う大変革」「地球を救う大変革①②③」「甦る未来」(サンマーク出版)、「EM医学革命」「新世紀EM環境革命」(綜合ユニコム)、「微生物の農業利用と環境保全」(農文協)、「愛と微生物のすべて」(ヒカルランド)、「シントロピーの法則」(地球環境共生ネットワーク)など。2019年8月に最新刊「日本の真髄」(文芸アカデミー)を上梓。2022年、春の勲章・褒章において、瑞宝中綬章を受章。