コロナの影響もあって、台所で出る生ごみを堆肥にリサイクルし、家庭菜園や花づくりを楽しむ人が増えています。
“どうせなら無農薬栽培にチャレンジしたい”という人におすすめなのが、EМボカシ(EМ発酵資材)です。
野菜くずや卵の殻、魚の骨などを新鮮なうちに水切りし、EМボカシで和えて密閉・熟成すれば、土や作物のチカラを引き出す発酵堆肥に生まれ変わります。
今回は、日本食品工業株式会社が販売する生ごみ処理用の『日食EМ醗酵資材』を製造してくださっている、『アグリ岸本』の杉本伝(つたえ)さん・千代子さんご夫婦を訪ねました。
8月初旬、大山の麓の作業場も午前中から30℃を越え、強い日差しが照り付けています。
そんな中、熱中症を防ぐ空調作業着姿の杉本伝さん(72)が、にこやかに取材陣を迎えてくれました。
EМと関わり30年以上 夫婦二人三脚でボカシ製造
もともと農家の後継ぎで、同時に米子市の葉たばこ堆肥生産組合で勤めていた杉本伝さん。
同組合を定年退職した後、『アグリ岸本』を創業しました。
EМと出会ったのは1993年、自然界の微生物の力を活用する土壌改良資材『EМ・1(イーエムワン)』が誕生した年。
弊社が、生ごみ用EМボカシの製造を依頼したのがきっかけです。
「乳酸菌や酵母など、微生物の働きに着目したボカシ作りは、新しい挑戦でした。
まだ少ないEМの活用事例を求め、日食さんと一緒に、山口・広島県内での取組みを訪ねて廻りましたね」とふり返ります。
試行錯誤を重ね製造した生ごみ用のEМボカシは、一時生産が追いつかないほどの反響をへて、多くの農家や一般家庭で利用されるようになりました。
妻の千代子さんも手伝うようになり、息の合った二人三脚の作業が続いています。
ボカシ堆肥で有機農業実践 後進営農家の心強い存在に
今回はEМの製造元、EМ研究所の山岡宏光さんも同行し、作業場で生ごみ用のEМボカシ作りを見学しました。
杉本さんはユンボを操り、撹拌機に大量の米ぬかを投入。
そこに千代子さんが準備したEМ・1と糖蜜の希釈液を加え、全体がしっとりするまで攪拌します。
ここまで仕込んだら、24~25℃に温度管理した保管庫に移し、発酵させること約1か月。
その後乾燥させ、ふるいにかけると、生ごみ用EМボカシの完成です。
仕込みの時は香ばしい匂いだけでしたが、発酵を終えたボカシは色味が深まり、ぬか漬けのように酸っぱい香りがしました。
杉本さんは、他にも油カスなどを加えた独自のEМボカシ堆肥でジャガイモ、大根、白菜を育て、地元のとれたて市などに出荷しています。
「EМを使うようになってから、ジャガイモの連作障害が出なくなりました。野菜がおいしいと喜んでくれるお客様も多く、うれしいですね」と杉本さん。
地域
では、有機農業に参入した多くの若手営農家の良き相談相手でもあります。
「自分で考えて進み、楽しくやることが大切。でも農業一辺倒ではダメ!」
仕事を離れたら、愛車のパジェロを駆って夫婦でドライブ。
米子の行きつけの喫茶店でモーニングを食べるのが、夫婦の日常の楽しみです。
記事協力:中国EM普及協会
(2022年12月12日)