近年、プラスチックはマイクロプラスチック化して生態系を破壊するなど世界的な環境問題として取り上げられています。私たちの身の回りでもレジ袋をはじめスプーンやフォークなどの使い捨てプラスチックをできるだけ使わない動きになってきています。
農業の現場でもプラスチック資材は大量に使われていて、中でも畑の畝を覆う資材としてポリエチレン製マルチング(一般的には黒マルチまたはポリマルチなどと呼ばれています)は病害虫や雑草対策などに必需品で作業効率を上げているのが現状です。
しかし、収穫が終わった後ポリマルチをはぎ、マルチに付着した土や根などを取り除き、畑で乾かしてから処分する作業は手間暇がかかり、土まみれになるなどそう楽ではありませんし、処分料もかかります。
家庭菜園をやっている方の多くは、「自分で食べる野菜づくりには、手間暇は惜しまない!」という方が多いと思います。そういう方には是非、草(雑草)でマルチングする”草マルチ”をお奨めします。 “草マルチ”を初めて聞いたという方もおられるでしょうが、雑草を刈って野菜の周りに敷くという簡単な手順のことです。ところが、やってみると意外と手間がかかるのですが、それでもメリットはたくさんあります。 特に夏場はポリマルチで被覆すると土の中はとても高温になり、雨も入りません。EM散布しても土壌の中には入っていきません。一方、雑草はお金がかかりません。そして繰り返し雑草を入れることにより、大地が豊かになります。
四季を通して雑草の種類が変化するので、私は散歩していても雑草に目がいくようになり、つい立ち止まってしまうことがあります。
連載の第4回「雑草を使った土づくり」でも紹介しましたが、私の農園では土づくりから雑草を使っています。雑草は大量に使うので雑草栽培用の畑も借りています。もちろん雑草はEM栽培ですよ。 雑草を使った土づくりの後に野菜を植え、さらに草マルチをしてからEM散布をします。この作業で土壌はフカフカ、私の農園では耕したことはありません。というより、耕す機械を持っていないのです。
どうでしょうか。雑草が宝物に見えてきたでしょう!
さあ、環境のため、植物のためにポリマルチから草マルチに変更しませんか。
使い捨てプラスチックは時には便利に使うこともありますが、日常生活ではできる限り使わないようにしたいですね。
ちなみに私は旅行などでホテルに宿泊する時には、事前にフロントに電話をして、部屋にある使い捨てのアメニティは必要ありませんと連絡をしています。
(2022年8月9日)
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<PROFILE>
柴田和明(しばたかずあき) 会社退職後、約2年間栃木県農業大学校で農業を学び、その後トマト農家で1年間研修を受け就農。 柴田知子(しばたともこ) 会社退職後、東京農業大学(世田谷区)オープンキャンパスのカレッジ講座で野菜や果樹の育て方、スローフード、発酵などの講座を受講。EM柴田農園では、種まきから仮植、種取りなどの細やかな作業を担当。