2021年1月からスタートした連載EM柴田農園「50から畑人」は、今年も引き続き四季折々の農園生活、トマトづくり、野菜づくりなどに柴田夫妻直々のメッセージを込めて紹介していただきます。第1回目となる今回は、昨シーズンを通して柴田さんへ寄せられた質問と柴田さんからの回答を「質疑応答集」としてエコピュア情報室がまとめました。これまで執筆内容への質問があった場合、エコピュア情報室からその都度直接回答をお伝えしてきましたが、柴田さんの「自分の取り組みを通してEMの素晴らしさを農業、家庭菜園に取り入れてもらえるよう質問をお受けして意思の交流を図りたい」との意向があって、「質問をお受けします」を設けたところ、読者の方から具体的で熱のこもった質問が寄せられました。
新しいシリーズも皆さま方よりのご質問をお受けいたします。
第3回「EM柴田農園のEM活性液づくり」への質問
<第3回>EM柴田農園のEM活性液づくり~安全・安心な生活を取り戻す 放射能低減にEM散布! (2021年3月11日)
Q.2次培養で使用する塩の1.6%へのこだわりの意味を教えてください。
A.毎回300リットルのタンクで培養して約10リットルのバケツに塩を入れて40度のお湯で溶かしてからタンクに投入しますが、簡単に溶かしやすい量が5㎏でした。ちなみに、塩は重たいのでバケツの3分の1の量が5㎏。それが1.6%という数字で、特別なこだわりはありません。逆に海水と同じ塩分濃度3%にこだわる方もいますが、私はそのようなこだわりもありません。
Q.保温時間について。1次培養は38度7日間ですが、2次培養は3日間保温で7日以降使用可になっています。なぜ3日間で良いのでしょうか。
A.2次培養はすでに活性化しているEM活性液から培養するため、38度3日間でpHが3.5以下に下がるので電源を切ります。2次培養も38度で7日間保温する方が理想かも知れませんが電気代(費用)の問題です。 細かい話をすると、夏は気温が高く3日目に電源を切っても2~3日は温度がある程度保たれるため3日目で電源を切りますが、気温が低い時期は4日間加温するようにしています。いずれの場合も使用するのは7日目からです。EMは様々な微生物の集まりなので、早く増える微生物もいれば、時間がかかる微生物もいるので、微生物のバランスをできるだけEM・1に近づけるためには7日間くらい必要と考えているからです。
Q.容器の洗浄について。容器の汚れでem活性液の劣化が早くなるということでしょうか。 (神奈川県 男性)
A.以前に比嘉先生から「EMさんのお家はきれいにしておきましょうね」と言われたことがあります。使い道がどうであれ、容器(ペットボトルやタンクなど大小関わらずすべて)はきれいに洗浄し乾燥させた方が良いと私は考えます。
~EM研究所からの解説~
【品質の良いEM活性液をつくる2つのポイント】
- 菌の活性を上げる
菌の活性を上げるには、1次培養して活性のついた菌を使用することで可能になります。
柴田さんは、仕込んでから7日目の1次活性液(EM活性液)を使用して2次活性液をつくっています。 - 菌のバランスが重要
菌のバランスを崩さないためには1次活性液は慎重につくる必要があります。
糖蜜の量、容器の汚れ、温度などによって増えやすい微生物が変わるため、些細なことが原因でEMのバランスが崩れます。
その原因としては、
★完成してから時間が経過している活性液を使用した
★1次活性液や糖蜜の量が少なかった
★培養温度が低かった
★pHの下がり方が悪い1次活性液を使用した
などの理由が挙げられ、以上のことを踏まえて、次の2点が2次培養を成功させるコツです。
☆使用する1次活性液は仕込んで2週間以内のpHの下がった新鮮なものを使用すること
☆1次活性液を10%以上入れること
2次培養を成功させるためには7日間きちんと温度を加えている方が良いのですが、 柴田さんはしっかり管理してつくった出来立ての1次活性液を使用し、丁寧に管理し ているため3日間でpHが下がり、加温を止めることが出来ているのだと思います。
1次活性液も2次活性液も使用期限が1カ月と短いため、1カ月間内で多量に使用する方には有効ですが、10リットル程度を2~3ヵ月以上かけて使用する方には向きません。
2次培養は、あくまでも応用編です。
発酵して見た目の色が良くても、EMとは異なる微生物が増えてしまっていては効果が無くなってしまいます。皆さんがEMを使用する環境や栽培方法に合わせて、原液、1次活性液、2次活性液を使い分けてください。
2次活性液のつくり方に慣れるまでは、EM・1の原液を1/1000添加してつくることをお奨めします。
第4回「EM柴田農園直伝!雑草を使った土づくり」への質問
<第4回>EM柴田農園直伝!雑草を使った土づくり~わたしは変人!あなたも変わり者になりませんか!! (2021年4月27日)
Q.除草シートで1か月ほど発酵させた草はこの後、土に抄き込むのではなく表面に置き肥料としてそのまま使うのでしょうか。トマトの場合は、黒マルチの下に敷き穴を開けて苗を植えていくのでしょうか。
A.トマトとトマト以外で異なります。 トマト以外は除草シートを取った後、藁のようになった雑草はそのままです。苗を定植する場合は、雑草を少しかき分けて植えます。その後も更に雑草を重ね、草マルチで管理していきます。ダイコンのように直接種を撒く場合は雑草を取り、レーキでならしてから種を撒きます。トマトの場合は雑草をすべて取り除き、種まきをするような状態まで平らにし、灌水チューブを通してから黒マルチをかけ、穴を開けてトマトの苗を定植します。
Q.「私は耕さない、EMさんが耕す」を読んで。 私はジャガイモや枝豆、トウモロコシなどを栽培しており、植え付けの際は畝切、堆肥、肥料を入れて土をかけています。耕さない場合はどのようにしたら良いかお考えがありましたら教えてください。
A.私はトマト以外にナス、ピーマンを栽培していますが、それ以外のナス科を栽培したことがないので、ジャガイモのことは分かりません。また、在来手法と不耕起栽培との比較やどちらが良いかはよく分かりません。 田んぼで台風シーズンに稲が倒れる原因は、化学肥料で育った稲は根を伸ばさなくとも肥料を吸えるので根が浅いと聞いたことがあります。 トウモロコシや枝豆、その他オクラなどもEMでしっかり土づくりをすれば、土寄せしなくとも倒伏しないのでは、と私は考えます。
Q.除草シートを掛けた土づくりは毎年繰り返すのでしょうか。
A.毎年同じような手順で土づくりをします。風の強い日が多い冬場は除草シートが飛ばされてしまうので、すべての除草シートを取り外します。
第5回「EM柴田農園直伝 トマトの土づくりから定植まで」への質問
<第5回>EM柴田農園直伝 トマトの土づくりから定植まで~50からのトマトづくり (2021年5月29日)
Q.トマトは黒マルチを使っていますが、どうして草マルチではないのでしょうか。 トマトの苗ごとに活性液が入ったと思われるペットボトルが置いてありますが、目的と効果のほどを教えてください。
A.黒マルチは環境のことを考えると使いたくありませんが、唯一トマトだけは使わなければならない理由があります。写真を見ていただくと分かると思いますが、秋になるとトマトの茎が長くなります。草マルチだとトマトの茎が草や土についてしまうからです。 ペットボトルの中はもちろんEM活性液です。定植したばかりのトマトの苗は小さく、強い風が吹いたときなど定植時に開けた穴から風が入り、マルチが浮いたり、飛ばされることを防止するために置きます。EM活性液入りボトルは結界として、または波動が高いので様々なところに置くと良いと言われ設置しましたが、今のところ私のところでは効果を確認できていないので、成果のほどは何とも言えません。
Q.第4回の土づくりで塩は使われていませんが、第5回のトマトの土づくりでは塩を入れています。この違いを教えてください。
A.塩はトマトの土づくり以外はほとんど使いません。トマトの場合、前年の秋に雑草をハウス内全面に投入した後、年明けの3月下旬に作業を再開するまで冬季は農作業を一次休止しています。5月上旬には畝をつくり適期に定植をしなければならないので、短期間で雑草を枯らすために塩を使います。詳細は連載第12回に説明しています。 それ以外の露地栽培は5月下旬から6月に入ってからの定植で、時間があるので第4回のような土づくりが基本です。 私の農園ではEMの培養以外ほとんどお金をかけておらず、塩も25kg約1500円もするのでできるだけ使わないようにしています。
第6回「EM柴田農園直伝 定植後のトマト管理とEMボカシの仕込み」への質問
<第6回>EM柴田農園直伝 定植後のトマト管理とEMボカシの仕込み~水を得たトマト達 (2021年6月29日)
Q.除草対策でEMボカシ、塩、炭を撒いた後、EM活性液はどのタイミングで散布しますか?散布直後でも除草効果はありますか。また日にちを空けると塩害が発生しませんか。
A.EMボカシ、塩、炭を撒いた当日にEM散布します。 この時期になると通常は通路にかなり雑草が生えてくると思いますが、柴田農園では定期的に塩を撒くことにより雑草はほとんどありません。トマトに塩害の影響はありませんが、通路の除草にはなっています。第5回でお伝えしたように、有機物がしっかり入っていて、微生物(EM)がきちんと棲みついている圃場だから可能なのです。
Q.EMボカシの保管方法を教えてください。
A.EMボカシは空気を遮断して(嫌気状態)発酵させるので、厚手(0.08mm)のビニール袋に入れてから、その後米袋に入れます。肥料袋などでも代用できます。米袋に入れる理由は、日光に当たらないようにするためです。段ボール箱でも大丈夫です。日に当たるとボカシの水分がビニール袋の内側に結露して、カビの発生源になります。
第8回「EM柴田農園直伝~野菜をきれいに育てて、長期にわたり収穫するには~」への質問
<第8回>EM柴田農園直伝~野菜をきれいに育てて、長期にわたり収穫するには~(2021年8月30日)
Q.カボチャの保存方法について。 私もカボチャを少し作っているのですが、10月ごろになると中から腐ってきます。原因がよく分かりません。5月ごろまで保存する方法を教えてください。
A.カボチャは低温での保存は向きませんね。私のところでは冷暗所、と言っても特別な設備があるわけではありません。8月の末に収穫してから11月までは日の当たらない涼しい調整室(収穫した野菜を箱詰めする作業室)に保存し、霜の降りる12月~3月までは家の廊下に保存します。4月以降はまた調整室に戻します。
自家用のわずか20個で、消費するごとに少なくなるので保管も楽になってきます。長期保存の個人的な感想としては無化学肥料、無農薬でEM栽培だからと思っています。
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