レポート(トピックス)

喜びは創りだすもの EMエコガーデン3周年
山形県長井市 遠藤かつゑさん

自然との調和を育む、草花600種の夢の庭

「山を手に入れて花の終活をする!」と宣言した山形県長井市の遠藤かつゑさんのエコガーデンが満3年を迎えました。2600㎡の敷地にナツリンドウ、アヤメ、カキツバタ、バラ、フロックス、アジサイなど、なんと約600種の草花がのびのびと育ちまさに人生の楽園です。「山と自然の調和のあるガーデンがほぼ完成したかな?」と遠藤さんは満足げです。

数年前、自宅の庭を駐車場にする計画が持ち上がり、数々のコンテストに選ばれたガーデンをどうするかという問題が持ち上がりました。庭を潰すということは長年そこで生きてきた草花にとっては死活問題です。花にしてみたら、私たちどうなるの?といったところでしょうか。遠藤さんは「花は自然に戻すつもり。だから自然に近い環境に還したい」との思いで土地を探しました。そして最後に見つけたのが神明森公園の裏手、かってスキー場を建設するために集落が移転した土地でした。40年間耕作放棄地で、鬱蒼とした林の中に小川が流れ、古い家屋と牛小屋がありました。この家屋と牛小屋は解体して山小屋と水場に生まれ変わりました。

44本の立ち木は切り倒し、ツリーハウスや休憩のための椅子にして、チップは通路に撒きました。残りの枝などはEM炭に。もちろん、EMボカシ、EM活性液、塩、セラミックパウダーなどをフル活用。岩手コンポストのEMたい肥以外は、この土地にあったものを土に還しました。ここまでは花壇の基礎工事で、建設会社を営む家族が協力しました。心底花好きな彼女を知っているので家族は驚きもしなかったようですが、「今思えばちょっと神がかっていたみたい」と笑いながら振り返える遠藤さんです。

数年前まで耕作放棄地だったとは思えない素敵なガーデン

地道な愛情で育まれる、持続可能なガーデンの育成

ガーデンの基礎工事が終わり、その後は一人で草取りに挑みます。最も大変だったのは、スギナ、ドクダミ、ワラビなどの宿根の草を抜くこと。耕耘機では根は取れないのでスコップでうないながらすべてを掘り起こした作業は経験のしたことのない人には想像すらできません。
「耕耘機でうなると草は生きようとしてなおさら強くなる。スギナは、除草剤をまいても枯れるのは上だけで根は枯れない。でも取らないと花と花の間から出てきて、花を傷つけてしまい抜くに抜けない」。

一方、一年草の草を少なくするには、花が咲いたらすぐに摘んでしまうこと。種になる前にこの作業すると草は年々少なくなるとのことで、確かに草はほとんど生えていません。 全体のイメージを描きながら自宅から持ってきた宿根草を植え、2年目は、花がら摘みや、株分けなどの花の管理に追われますが、これがガーデナーの最大の愉しみ。グランドカバーにはプリムラ、ヤブラン、柴サクラやキンバイなどを増やしていきました。「苗を植えるだけではガーデンにならない」という遠藤さん。人間の手が加えられることで植物の生命は最大限に発揮されていきます。

猫と花のパラダイス、EMエコガーデンに広がる幸せの輪

2022年秋には、ガーデンで大好きな猫を飼い始めます。保護猫を引き取ることは遠藤さんの積年の願いで、その夢も叶いました。今では6匹の猫が花壇を庭にしてのびのびと遊びまわっています。バラの木陰からひょいと現れる猫、蝶々を追いかける猫などで、ガーデンの豊かさが倍増しました。
遠藤さんは、猫と花のお世話のために自宅からガーデンに毎日通っています。

「ひ孫を保育園に送って、ここに来る。猫や花が待っていると思うと自分を律することができる。誰かのためになることができて今はとても幸せ」と笑顔で話します。「喜びは創りだすもの」という言葉は、アメリカの絵本作家でガーデナーのターシャ・テューダーさんのもの。その言葉が好きだという遠藤さんは、実際に自ら喜びを創りだし、そしてその喜びをまわりの人々と分かちあっています。微生物から猫までいきいきと暮らすオーガニックガーデン。花の終活はこの世の幸せのひな型のようです。

★森のガーデン花*花 | instagram
@em_garden8787

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<長井市のガーデナー遠藤かつゑさんの新しいガーデン完成 長井市川原沢
https://www.youtube.com/watch?v=eiE_iSoM3DM