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よくわかる土中環境

よくわかる土中環境
高田宏臣 著

2021年7月に起きた熱海土砂崩れ。熱海の街を一瞬で飲み込んだ土石流は素人の目からみても「地球温暖化」による「想定外の雨量」では説明できない重大な問題があるだろうことを実感させてくれた。全国各地で発生している自然災害と呼ばれる土砂崩れの原因として、無謀な森の伐採や安易な盛土などが問題視されている。そこで、地表の上の自然破壊に連動して土表の下、つまり土の中の環境がどうなっているかに注目したのが、著者・環境土木研究所の高田宏臣氏だ。

高田氏は長年被災地の周辺、山河に分け入り、環境上の視点から災害の根本的な原因を調査してきた。その結果、土の中の断層や水脈を無視した自然環境の変化が山、川、里、海のつながりを断つことになっていると確認。 もし健康な山や川であれば、土壌が豊かな雨を受け止めて動物や植物の生長を促しつつ、残りの雨が川となり、海に流れて海の生物を育てる、という循環が成立する。

しかし現代、自然に寄り添う土木の考え方はIT化も進んだことから重要視されなくなった。その結果、国土は荒れ果ててしまいつつある。本書では、ダムや太陽光発電、風力発電などの施設による土中の環境破壊を警告し、身近な土の環境を変える方法を提案している。

その材料は落ち葉、炭、くん炭、生ごみなどで、究極的には土壌微生物を豊かにすることにつながると解説。ことに落ち葉が土壌を豊かにするだけではなく、土の中の構造を変えていくということに驚きだ。



出版社 : PARCO出版 (2022/8/1)
発売日 : 2022/8/1
言語 : 日本語
単行本 : 160ページ
ISBN-10 : 4865063951

【目次】
プロローグ 始まりは、土石流についての小学生の質問から
chapter 1 土中環境の基礎知識と山・川・里・海のつながり
・基礎知識 団粒構造と単粒構造
岩の働き
菌糸
水脈
・すこやかな 山と川のつながり
・荒廃した 山と川のつながり
・すこやかな 山・川・里・海のつながり
・荒廃した 山・川・里・海のつながり
・現代の住環境での改善例

Chapter2 現地レポート&再生プロジェクト
・静岡県熱海土石流の原因
・宮城県丸森町の復旧工事
・ソーラー発電・風力発電の影響
・千葉市昭和の森 市民による森の再生
・千葉県沖ノ島 山と海の再生

chapter 3 土中に働きかける10のアクション
・土中環境の改善作業に あると便利な道具たち
・炭とくん炭
・グリグリ
・アクション1 落ち葉を活用する
庭で腐葉土を作る
植木鉢で腐葉土を作る
落ち葉を使った畑作り
落ち葉を使った庭の改善
落ち葉を使った斜面の改善
・アクション2 庭木の剪定枝を活用する
剪定枝を使った庭の改善
剪定枝を使った斜面の改善
・アクション3 石や瓦片を活用する
・アクション4 生ゴミを土に還す
木の根元で生ゴミ処理
木枠を使って生ゴミ処理
集合住宅で生ゴミ処理
・アクション5 どんぐりポット苗を作る
どんぐりポット苗を植える
・アクション6 庭に穴や溝を掘る
庭の一角に穴を掘る
庭の道の際に溝を掘る
裏山の際に溝を掘る
穴や溝を掘ったときに出た土は
・アクション7 草は抜かないで刈る
土中環境に悪い刈り方
土中環境をよくする刈り方
つる性の雑草の刈り方
・アクション8 土に還りやすい外トイレ法
・アクション9 米のとぎ汁や風呂の残り湯を土中に
植木鉢にまく 庭の木のまわりにまく
・アクション10 動物の亡きがらを土に還す

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