大阪・道頓堀の成功から始まった浄化活動
20年前(2003年)から大阪漁協が行ったEM元気玉(EM団子)による道頓堀の浄化は大成功を収めました。その後、この活動はSPCグループに引き継がれ、現在は大きな鯉が群れをなす美しい道頓堀川となっています。かつて、悪臭を発し、大阪の象徴的となっていた道頓堀川は、今では楽しい散歩ができ、川面を閉鎖していたレストランや商店街も間口を川辺に改築し、親水公園的となり、大阪の新名所に変身しています。大腸菌数も1000個/ml以下で泳げるようになっています。
この活動で、淀川、寝屋川、大和川等、大阪の主な川の大半にEMが長期的に連続的に投入されたため、大阪の川々はきれいになり、ベッコウシジミ等々はもとより、シラウオを含め、漁業資源も大幅に回復し、新名物となっています。
ハワイ・アラワイ運河での新たな挑戦
この道頓堀のEM元気玉の成果を期待して始まったのが、ハワイのワイキキにあるアラワイ運河の浄化活動です。
大阪漁協ではその応援のためにツアーを組みました。そして、ハワイのEM関係者と交流したことがきっかけとなり、『ハワイ ゲンキ・アラワイ・プロジェクト』がスタートました。<参考:第180回 ハワイ州ワイキキのアラワイ運河浄化プロジェクト>そのため、ハワイでは EM団子ではなくEM元気ボール(EM Genki Ball)と呼ばれています。
『ゲンキ・アラワイ・プロジェクト』は、2019年に発足した市民ボランティアグループで、非営利団体 Hawaii Exemplary State Foundation の傘下で活動しています。主な目的は、EMを用いて水質を改善し、ハワイ州ホノルル郡にあるアラワイ運河の生態系を「泳げる・魚釣りができる水路」として回復、再生すること。
これまでに140以上の学校や企業、延べ7,000人以上が協力し、アラワイ運河に10万個以上のゲンキボールを投入しました。その結果、58センチあったカパフル通り側の運河のヘドロ高が8センチに低下した、などの成果を上げています。
大阪から世界へ、ゲンキボールが繋ぐEM技術の可能性
この活動は徐々に社会的なつながりを強化し、今ではザ・リッツカールトンの積極的な協力も国際化して、新しい環境学習ツアーに発展しています。
2024年2月、旅行業界ではHISが提供する「ゲンキボール作り体験」の含まれた社員旅行ツアーが高く評価され、JATA SDGsアワードで奨励賞を受賞。7月には「第2回JATA SDGsアワード」と「ツアーグランプリ2024」の表彰式が行われ、HISは旅行社の中で最多受賞でした。
『ハワイ ゲンキ・アラワイ・プロジェクト』は、EM(有用微生物群)という善玉菌の集合体を使用して、河川や自然を浄化するプロジェクトです。HISハワイでは、ハワイ滞在中に「ゲンキボール( EM団子)」を作り、アラワイ運河浄化に取り組むチームビルディングの機会を社員旅行等のお客様に提供する旅行プログラムが評価され、奨励賞を受賞しました。
https://www.his.co.jp/sustainability/report/shin-companytrip/
【JATA SDGsアワードとは・・・】
旅行需要の拡大と旅行業の健全な発展などを目的に活動する一般社団法人日本旅行業協会は、2023年より「JATA SDGsアワード」を開催している。JATA SDGsアワードは、旅行業界におけるSDGs達成を促進するための表彰で、「社会・人権部門」「経済・産業部門」「地球環境部門」「共創部門」の4カテゴリーに、それぞれ優秀賞・特別賞・奨励賞が用意されている。
<「JATA(日本旅行業協会) SDGs アワード」優秀賞を獲得した4つの取り組み>
https://livhub.jp/column/jata-sdgs-award-2408.html
また、ゲンキ・アラワイ・プロジェクトが毎年8月8日に開催されている「世界EM団子の日」のイベントに参加したことで、アラワイ運河の浄化活動は多くの関係者に多大なインパクトを与えました。そして、この活動は徐々に社会的なつながりを強化し、リッツカールトンの積極的な協力も国際化し、今や新しい環境学習ツアーに発展しています。
次に紹介する一例はハワイ大学のニュースでも取り上げられ、楽しい学習型観光ツアーを開拓したものです。
【アメリカ】ハワイ大学:数学の実践:学生たちが水質汚染対策に役立つ元気ボールを作る
https://www.hawaii.edu/news/2024/10/18/math-in-action-students-create-genki-balls/
「ハワイで最も汚染された水路の1つを浄化するのを手伝いながら数学の概念を学ぶことが、ハワイ大学マノア校の創造的な授業の焦点でした。
10月16日から18日まで、ハワイ大学マノアキャンパスで、数学100を受講する約400人の学生が約2,000個の「元気ボール」を制作しました。元気ボールは、日本語で「健康で活力にあふれている」という意味で、栄養分と微生物が豊富な土で作られており、水路の底に沈んで有益な微生物をゆっくりと放出するように設計されています。」
これら一連のアラワイ運河の浄化活動は、潜在的な社会資産となり始めており、これらの活動は、環境保護の枠を超えて持続可能な社会の構築に寄与していくというEM技術の未来像を示すものです。