レポート(トピックス)

備えのひとつにEMを!能登半島被災地を行く

日本各地で地震が相次いでいます。最大の心配ごとの南海トラフ注意情報がテレビの画面からは消えても、大地震がいつ起こってもおかしくありません。そんな中、震災から8ヶ月が経過した能登半島を訪れる機会を得ました。

能登半島大震災は2024年1月1日16時6分に発生。能登半島最先端にある珠洲(すず)市を震源地とし、マグニチュード7.1。2024年8月現在で死者314人。津波、土砂崩れ、火災、液状化現象などで家屋の倒壊が相次ぎ、半島特有の道路事情により交通網が壊滅的に寸断され、自衛隊の救助活動が難航したことは多くの人の知るところです。

EM活性液による被災地支援

福井県福井市でEM関連事業を営むN_スタイル.ラボの中野孝さんは、震災後すぐさま被災地に入りたかったのですが、なにしろ道路の陥没や山崩れがひどく、動くことができなかったと話します。

「EMが震災時の臭い消しや家屋の洗浄に役立つことは経験済みで、全国のEM活動団体からEM活性液の提供の申し出がありましたが、それを届けるすべがありませんでした」と当時を振り返ります。

その後、被災地と電話がつながるようになると、能登半島に住む知人の安否を確認しながら、EMが何か役立つことはないかとリサーチを続けました。そして、被災者の支援をしたい一心で、福井市の有志の皆さんとボランティア活動を始め、250リットルのタンクにEM活性液を作りました。

浄化槽の復旧と簡易トイレでのEM活用

EM活性液を投入して詰まりが解消された浄化槽

「合併浄化槽が詰まって困っている」との電話が、能登リサイクル協同組合から中野さんに入ったのは2024年3月のことでした。そこで、中野さんは浄化槽に40リットルのEM活性液を投入することを提案。数週間後、微生物の力で浄化槽は正常に機能し始め、困っていた悪臭も消えたという報告を受けました。

能登リサイクル協同組合は、被災地の簡易トイレの管理も担当しており、この成功を受けて試験的に簡易トイレへのEM活性液の投入を始めました。

中野さんを含むボランティアスタッフたちは、完成したEM活性液を500mlのペットボトルに小分けして、被災地の簡易トイレを訪問しました。

ボランティアスタッフが詰めた500mlのEM活性液は、能登リサイクル協同組合が管理する道の駅の簡易トイレの20リットルタンクに毎日投入されました。

EM活性液の効果について能登リサイクル協同組合の担当者からは、「悪臭はよく抑えられており臭気対策として非常に効果的です」との評価をいただきました。

ですが、2024年の猛暑。
夏場の臭気を案じた担当者に対して中野さんは、気温が高い時にはEM活性液の量を増やすとより悪臭対策に効果的だということをアドバイスしました。

その後、厳しい暑さが続く時期にも悪臭は発生せず、快適なトイレ環境が維持され、利用者からも喜ばれました。この簡易トイレは、多くの方に快適に使ってもらえたものの、仮設住宅が完備される秋ごろには撤去される予定とのことです。

道の駅の簡易トイレでは管理事業者が毎日EM活性液を使用

災害からの復興とEMの効果

能登町の中心街を抜け、珠洲市に入り、この町に暮らす柚(ゆ)寛也さんを訪ねました。柚さんは、金沢市で不動産業を営む若手実業家。4年前祖母の実家がある珠洲市に移住し、祖母の築90年の古民家をEMを使って改装しました。EMを添加した漆喰と珪藻土を使い、床下にはEMセラミックスを使ったそうですが、その時柚さんの相談に乗ったのが中野さんでした。化学物質に接すると頭が痛くなる柚さんにとって、EMは頼りになる素材でした。

地震時、揺れというよりもドンと突き上げられる衝撃に、飼い犬と一緒に外に出たところで地面にひっくり返った、と柚さん。ケガもなく無事でしたが、能登瓦の家は半分倒壊したため、両親が住む実家に避難しました。その後、珠洲に戻り、冷静になってから観察してみると、EMで改装した家はまわりの家よりもつぶれ方がひどくないことに気が付いたそうです。この地区の倒壊家屋の撤去作業は続いていましたが、残っている倒壊家屋よりも痛手が少ないと見て取れました。

トレーラーハウスとEMの普及に向けた取り組み

能登半島を横断する「のと里山海道」は復旧し、その両側の家屋や田畑は整い始めましたが、1本道路を入った集落の復旧はまだまだ手つかずの状態が続いています。家屋の解体も道路の修復も遅遅として進まない中、やはり能登で暮らしたいという住民は少なくないといいます。
そこで柚さんは、脆弱な地盤の上に住宅を再建するより、安価でできるトレーラーハウスを提案しています。自宅を立て直しつつ、敷地に建てられるトレーラーハウスを展示して地域の人に体験してもらうという計画。地元の復興が1日も早く進むようにお手伝いしたい、と取り組んでいます。

地震、豪雨にもめげずに地元で頑張る柚さん
中野さん(左)は能登復興のために地元企業として取り組む柚さんの良き相談相手

中野さんは、「普段から農業やお掃除でEMを使っている人に、EMは災害時にも役に立つということを知ってもらいたい知っているかどうかで大きな違いが生じます。日常的にEMを使ってもらうことが非常時にも役立つということです。今後も現地の人たちの役に立てることがないか、柚さんと取り組んで行きたい」と話しています。地域の人々が安心して暮らせる環境を整えるために、能登半島での暮らしに寄り添い、さらなる支援や協力が広がっていくことを願ってやみません。

取材日:2024年8月2日

※この後、2024年9月20日から約3日間降り続いた大雨により甚大な被害が能登町と珠洲市を襲いました。柚さんは無事でしたが、住まいのある珠洲市三崎町は深刻な被害を受けたとのことです。被害にあわれたみなさまに心からお見舞い申し上げるとともに、被災地の一日も早い復興を願っています。(追記:2024年10月1日)

文責:小野田