宮城県仙台市泉区の泉ニュータウンは、開発からおよそ50年、今では世帯数1万、人口2万5千人の日本一の大規模な新興住宅地として発展しています。安斎かずえさん一家がこの街の一員になったのは、1990年初めの頃で、どうやってこの街をつくっていくか住民の間でも戸惑いと期待が交差していた時期だといいます。
そんな中で、安斎さんが主宰する洋裁教室の生徒さんからもたらされたEMの情報が、畑仕事や花づくりが大好きな安斎さんの心をとらえます。「これだ!」とピンときた安斎さんは、すぐにEMインストラクターを取得。EMというツールを手にして持ち前のボランティア精神に火がつきました。
まずは道路に設置されたマスの花植えから始まり、ラジオ体操で集まる公園の花壇などの花づくりにEMボカシⅡ型やEM活性液を活用していきます。そして2012年に町内の高森ガーデンクラブの幹事となり、クラブのスローガンである「花で街をイメージアップ」に貢献していきます。その思いに応えるように市道両側のマスには四季折々の花が咲き、住民の目を楽しませることになります。
さらに地元の高森小学校では、子供たちから「私たちの通学路もきれいにしたい」と声があがり、安斎さんも花づくりのお手伝いをすることになります。今では1~4丁目連合で町内会の花植えネットワークが組織されて、72ヶ所の沿道マスへ、学校地域協同での花づくりが行われています。「息子は6歳で引っ越してきたのでここが故郷。美しい街だったという思い出が作れたならうれしい」と振り返ります。
10周年の森の花壇づくり
2023年、そんな安斎さんにうれしいニュースが飛び込んできました。長年、花壇づくりに関わってきた仙台市立高森中学校が、仙台市緑と花いっぱいコンクールで最優秀賞を受賞したのです。
同校はニュータウン開発に合わせて1990年に開校し、10年の節目になる2000年に学校の敷地内に森をつくるという企画が持ち上がりました。造成地であったこともあり、森にできるか不安の声もある中、土壌の改良から木の選定まで専門家も交え、生徒、PTAや教職員などが力を出し合い、見事「10周年の森」が完成します。この森には「花の小川」という花壇が設置され、PTAの一員となった安斎さんはこの花づくりに関わることになります。
EMボカシ、米のとぎ汁EM発酵液づくりや腐葉土つくりなどを総合学習の中で生徒たちに伝授。生徒だけではなく道行く人々が学校に立ち寄る森の中の花壇として愛されるまでになりました。森づくりから20年を超えて、植樹された広葉樹や針葉樹の木々たちも大きな木陰を作るまでに成長してきました。地球温暖化が問題になるこの時代に荒れ地から森を作る見識は再評価されています。
さらに今回の受賞では、米ぬかを「EMボカシ」に、米のとぎ汁を「米のとぎ汁EM活性液」に、落ち葉をEMボカシで発酵熟成させて「腐葉土」に、古いシャベルを花のラベル代わりに、と、さまざまな資源を再利用したことがSDGs(持続可能な開発目標)にふさわしいという評価も得たそうです。安斎さんのEMを活用した腐葉土のつくり方は以下の通り。
- 12月、落ち葉にボカシをまいて散水しながら混ぜ、古毛布やブルーシートで覆います。
- その後は分解を促すための切り返し(掻き出して積み直す作業)を春までに2~3回行い、5月頃にしっとり黒々した腐葉土になっていたら使用できます。
現地を訪れた審査委員からは、気温が高い時期でも花が生き生きしていること、砂地だったとは思えない豊かな土壌になっていることを高く評価され、安斎さんはEMの力にあらためて感じ入ったと話しています。
100年先の森、100年先の街。安斎さんの花づくりがニュータウンの歴史をつくる1コマになることに違いありません。
取材日 / 2023年11月13日(文責:小野田)
【高森中学校HP】
https://www2.sendai-c.ed.jp/~takamori/takamorijhblog/sb.cgi?cid=1
【仙台市緑と花いっぱいコンクール】
https://www.city.sendai.jp/ryokukasuishin/kadan2023.html
【安斎かずえさんFB】
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