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七転八倒百姓記 地域を創るタスキ渡し 菅野芳秀 著

農業従事者の数の減少が止まらない。高齢化もすすむばかりで自給率の向上を叫ばれて久しいのに、と食べる側としても頭を抱える事態だ。当事者である農家の深刻さは想像にかたくない。

20代で故郷に帰り農家を継いで「堂々たる田舎」を目指した著者50年の歩みは猫の目のように変わる農政とは関係なく、都会と田舎をつなぐ独自の手法を生み出そうとする。1つは家庭の生ごみをツールにした生ごみ循環の町づくりだ。レインボープランと呼ばれるこの取り組みは、山形県の長井市を一躍有名にし、視察者が絶えなかった。次に着手したのが「置賜(おきたま)自給圏構想」だ。グローバル化が限界にきた現在、地域でエネルギーも食糧も自給する取り組みは様々な地域で挑戦されている。

著者は常に現実的な対案を提案し、あらゆる人たちと共に活動することを信条としてきた。土、食、いのちを扱う農業の現場から社会を具体的に変えたいという意思が溢れている。構造を変えるという過程には苦悩はある。しかし考え続け、やり続ける先に失敗はない。地域を創るタスキを受け取る人々がいると信じたい。

(小野田)


七転八倒百姓記 地域を創るタスキ渡し
菅野芳秀 著

出版社 : 現代書館 (2021/10/13)
発売日 : 2021/10/13
言語 : 日本語
単行本 : 280ページ
ISBN-10 : 4768458998

【目次】
序章  みんなでなるべぇ柿の種
第1章 農家に生まれたことが辛かった10代のころ
第2章 激動の70年代  20代のころ
第3章 減反を拒否する
第4章 減農薬のコメ作りへ
第5章 置賜百姓交流
第6章 アジア農民交流センターの誕生
第7章 循環する地域農業を創る―レインボープラン序説
第8章 動き出したレインボープラン―地域の台所と地域の土を結ぶ
第9章 置賜自給圏をつくろう
第10章 原発と百姓、そしてコロナ…―結びにかえて

今、思うこと。そして「タスキ渡し」

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<著者プロフィール>
1949年、山形県は長井市の山里で生まれる。農業だけで暮らす専業農家。息子と家族で、水田五ヘクタールでコメを作り、健康な玉子を得るため放し飼いのニワトリ1000羽を飼っている。心掛けているのは自然と共生する地域循環農業。また農を基礎とする循環型社会づくりに取り組みながら、求められて話に出向いたり雑文を書いたりで忙しく活動中。置賜百姓交流会世話人。アジア農民交流センター(AFEC)共同代表。置賜自給圏推進機構共同代表。大正大学客員教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
七転八倒百姓記 地域を創るタスキ渡し』より

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ぼくのニワトリは空を飛ぶー菅野芳秀のブログ