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EM効果の本領は限界突破である

PROFILE
ひが・てるお/1941年沖縄県生まれ。EMの開発者。琉球大学名誉教授。名桜大学国際EM技術センター所長。アジア・太平洋自然農業ネットワーク会長、(公財)自然農法国際研究開発センター評議員、(公財)日本花の会評議員、NPO法人地球環境・共生ネットワーク理事長、農水省・国土交通省提唱「全国花のまちづくりコンクール」審査委員長(平成3年〜平成28年)。著書に「新・地球を救う大変革」「地球を救う大変革①②③」「甦る未来」(サンマーク出版)、「EM医学革命」「新世紀EM環境革命」(綜合ユニコム)、「微生物の農業利用と環境保全」(農文協)など。
EMの当初の目標は化学肥料や農薬の連用で発生する塩類集積対策や病害虫対策、連作障害対策からスタートしました。一見すると、この三点は何ら関係のないように思えますが、いずれの障害も発生する場合の共通項があります。すなわち、このような障害が発生する土壌は例外なく腐敗性のカビやバクテリア等の悪玉菌が占優しています。

したがって、クロールピクリンやメチルブロマイドなどの毒ガスで燻蒸し、皆殺しにすると土壌に関する上記の分野は一挙に解決します。高熱処理も同じ効果を発揮します。しかしながら、形は変わっても、これらの殺菌や殺虫のメカニズムは強い酸化(フリーラジカル)によって引き起こされるもので、その後に強い酸化環境が残ってしまいます。

したがって、その処理の後は、酸化を好む微生物にとって圧倒的に有利な条件となり、抗酸化的な微生物にとっては極めて不利な状況に変わってしまいます。すなわち病害虫のほとんどが酸化を好むグループに属していますので、消毒を重ねるごとに有害な病害虫の発生を助長し、最終的には抵抗性の病害虫の発現という悪循環に陥ってしまいます。

このような背景を理解すると素人的な妙案が浮かんできます。すなわち、善玉菌に属する微生物を人工的に増やし、土壌の微生物相を善玉菌が占優するようにすればいいということです。確かにその通りで、EMの活用の基本はその発想と同じですが、実用化となると、素人が考えるほど単純ではありません。

極めてラッキーなことが幾重にも積み上がって現在のEMが出来上がった訳ですが、この時点で私は、農学者としての社会的責任をはたしたという満足感に満ち満ちあふれていました。すなわち、化学肥料や農薬の致命的な欠陥を解決し、自然農法や有機農業を飛躍的に発展させ、人々の健康を守り、生態系を豊かにし、積極的に環境を保全するという農の本質に王手をかけたからです。

EMを使うと、多収高品質という従来の常識に相反する現象や、暑さや寒さ、干ばつや多雨などに対する環境適応性の顕著な効果は目を見張るものがあります。当初は栽培環境が望ましい状況に改善されたためと考えていましたが、1穂に100粒くらいしか着かない普通の米の品種が300〜400粒になったり、1節に1個しか結実しないキュウリに2〜3個ついたり、1〜2本しか結実しないトウモロコシが4〜5本もついたり、トマトやブドウの果房が複数になったり、巨大野菜が続々とできるようになりました。

それらの結果は明らかに従来の品種の概念を飛び越えており、まったく別の品種のカテゴリーに入るものです。私は、このような現象を従来の品種の能力を突破していることにちなんで、限界突破と称するようになりました。この限界突破が常に再現できるようになれば究極のEM技術ということになります。

限界突破の目安

前号で紹介したバナナのように1本の茎から2個の花房が出るようなことは実際にはあり得ないことですが、私の試験農場では年々10数本も現れてきます。このような明らかに形態が多収の方向性をとるものを限界突破現象として認識しています。また収量面でいえば2倍、品質面で言えば秀品率が90%以上、抗酸化レベルも2倍以上、当然のことながら味はトップレベルでなくてはなりません。

限界突破を支える背景

作物は太陽の光をエネルギー源にし、光合成を行っていて、その収量や品質はすべて、総光合成力によって決まります。病害虫や様々な環境負荷がその光合成の能力に大きな影響を与えますが、限界突破の場合、阻害因子をゼロにしてもそれを超える顕著な効果が現れてきます。すなわち病害虫の被害がなく、環境負荷もなく、豊作となった場合を100とすると、限界突破の場合は200になるという従来の常識ではあり得ない現象です。

光合成の結果は、すべて電子の流れで決まります。すなわち、整流力次第ということになりますが、EMは放射能も整流し、使えるエネルギーに変換する力があります。EMの葉面散布は植物の葉の整流を高めるため、これまで使うことができなかった紫外線域の光や、赤外線域のエネルギーを取り込んで活用しているという考え方が成立します。

当然のことながら、養水分の吸収も電子の流れで決まりますので、EMを土壌に施用すれば整流力が高まります。EMを土壌施用にするか、葉面散布するかという議論もありますが、両方とも行う方が良いということになります。

限界突破を支えるもう一つの側面は、EMによる抗酸化力の増強によって作物の呼吸が最小限に抑えられる機能です。作物は高温や低温などの不適な状況におかれた場合、それまでに合成した光合成産物をエネルギーに変えて、我が身を守る仕組みを持っています。高温で紫外線が強い場合はエネルギー収支はマイナスになる例も少なくありません。エネルギーを消費するということは酸化現象ですので、作物の抗酸化レベルが高いということはエネルギーの無駄遣いをしないということになります。

写真は、EM研究機構のサンシャインファームにおけるトマトの限界突破の事例です。海水による発酵有機液肥と、海水を活用したEM活性液(50倍で週1回の葉面散布)を活用しています。例年ですと、後半のこの時期に入ると下葉が枯れたり病気になり除去しますが、海水を活用するようになった今年は、ハウス全体が安定して安心感があります。


フルーツトマト、赤系の全体像


フルーツトマト、黄色系の全体像


赤系のフルーツトマトの着果状況


1つの果房が複数化しサイズもひとまわり大きくなっている状況

(2015年2月18日)





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