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EMによる行政コストの課題解決

米国初の金融工学によるネズミ講の破たんは、当初の予想をはるかに超える大きなものとなってしまいましたが、世界的な観点から見れば戦争を必要としなかった人類史上最大の改革のチャンスとなり始めています。資本主義の暴走への歯止め、社会主義の再認識は社会の新しい潮流になり始めています。すなわち、これまで引きずってきた対立と競争から共存の方向へパラダイムが変わらざるを得ない状況になり、いいことなら何主義でも取り入れて、皆で、この社会不安を解決しようという段階にさしかかっています。

この流れは国内の失業者救済や労働の場の再編成、各種の緊急対策においてもかなり柔軟に行われるようになり、これまでの常識では考えられない望ましい展開になりつつあります。すなわち個人の尊厳や幸福を軸とした基本的人権意識が芽生えつつあり、そのためには社会主義や資本主義でもなく、それぞれの状況下で最善と思われる方法を講じることが当たり前になりつつあるということです。

このような変化は、世界経済にも国際的な関係にも広がっており、他国や国際社会のことも考慮せず、自国のエゴばかりを主張し続けた国々は没落するか、方向性を変えざるを得ない状況に陥っています。米国やEUをはじめ、この不況脱出に協同して、できることは何でもやろうという人類史上始まって以来の壮挙といえる状況になりつつあります。

その流れをさらに強化するためには、個人は社会を良くするための自己責任原則、社会は個人を守り、国を良くする自己責任原則、国は社会を守り、国際社会を良くする自己責任原則が有機的に機能する必要があります。

この新年からそれらのことを年頭にこの連載を書き始めました。これまでは主として個々人の社会的な自己責任原則を果たすためのEMの活用の方法や理念について説明しましたが、東京のように構造上資本が集まるようになっている自治体を除けば、その大半が財政再生団体になり始めています。

私はかねがね行政と住民がEMをシステム的に使い生活化すれば行政コストは半分以下にすることが可能であると説明し、種々の事例のお手伝いを行ってきました。当初はEMをまったく相手にしなかった自治体も国も今ではEMの有用性を認めるようになりましたが、EMが真の力を発揮させ、行政コストを半分以下にするためには、EMを従来の方法の代替手法として活用するのではなくて「EMに合わせて行政手法を変える」ことが肝要であることを忘れてはなりません。

EMで日本一の村づくりを実現した福井県旧宮崎村(現越前町宮崎)

福井県の旧宮崎村は人口が6000人内外、村債(借金)は90億円余り、1人あたりの医療費が福井県ではダントツで、村の財政は破たん状態となり、職員の給与の支払いも銀行に特別な保証を約束し、急場をしのいでいる状態に陥っていました。

まさに財政再生団体と同じ状態にありましたが、当時はまだ国や県には財政の余力があり、なんとかやりくりしていました。1995年ごろのことです。その宮崎村が8年後には福井県で医療費が最も低くなり、村債も限りなくゼロに近づき、人口も増え、農業も活性化し、小中学校の学力やスポーツ競技(主としてバレーボール)は県内の注目するトップレベルの存在になったのです。人々は宮崎村の奇跡と称していますが、日本一最悪な状況にあった宮崎村を日本一の村に育て上げた木村村長は園遊会に招待されるまでになりました。

この実績は合併した現在の越前町にも引き継がれています。まだ町全体に徹底するには時間がかかりそうですが、旧宮崎村の実績は財政危機に直面している地方の自治体にとって大変参考になる事例ですので旧聞ですが改めて紹介したいと思います。

事の始めは財政余力のまったくなくなった宮崎村の集落排水処理施設(下水道処理場)が老朽化し、村の中央部が悪臭に包まれ、食事にも支障を来す村民も増え、苦情が殺到したとのことでした。業者に見積もりさせると1億円以上、とても修理して使える状況ではなかったとのこと。当時、村には5万円も捻出する余力はなく、仕方なく、EM関係者のアドバイスを受け入れ、自力で工夫を重ね、何とかEMを多量に培養する方法を確立し、定石通り悪臭が消えるまでEMを入れ続けたそうです。

約1週間で臭気に対する苦情はなくなり、村民も役場もEMに対する評価が一変したのです。もともと宮崎村ではEMで家庭の生ごみをリサイクルし、家庭菜園で成果を上げたり、EMで自然農法にチャレンジしているグループがありましたので、木村村長のEMによる村づくりの大きな力となっています。下水処理の難題を解決した役場は、EMプロジェクト推進チームを立ち上げ、生ごみのリサイクル、下水汚泥の有機肥料化、EM野菜の学校給食への活用、有機JAS認証の取得、米のとぎ汁発酵液の家庭での活用、農畜産へのEMの応用、学校のプールやトイレ、教室の清掃へのEM活用など、その他焼き物や村の二次産業への応用などあらゆる場面にEMの応用を広げたのです。

当然のことながら、生ごみや下水汚泥の処理費が著しく減少し、年間数千万円の余力が生まれ、各種の交付金の対応力もついて村で本当に必要な事業が展望できるようになりました。いつの間にか医療費の補填は激減し、気がついてみると1人あたりの医療費が福井県で最も少ない村になっていたのです。

それだけではなく、EM栽培の農産物の直売場は土日限定にもかかわらず、月に1千万円内外に達し、その大半は家庭菜園や小規模の兼業農家から出されたものです。月に1千万円という額は高齢化の進んでいる農村には極めて大きな力であり、その大半は生ごみなどを含め原価は極めて低く真水の1千万円に近いものです。

今では各家庭の大半が米のとぎ汁発酵液を使っているために、下水処理場でもEMを特に投入しなくても浄化機能は高まっており、汚泥は良質の有機肥料として活用され、その排水は魔法の水として農業や街路樹などの管理に幅広く利用され、下流の河川の浄化源としての役割も果たしています。

私はかつて日本中を宮崎村化すべしと力説してまわりましたが、当時は国はもとより県や地方自治体もEMに対し冷淡であり、反EM的な行動を平気で行っていました。

今ではすっかり時代が変わり、有機農業推進法も成立し、EMを軸にした有機農業の大会には国の課長クラスも出席するようになり、EMに対する国や自治体の認識もまったく変わり、今は昔の話になっています。「困ったときはEMの出番」国や各自治体はようやく困った状況になり、EMを受け入れるようになりました。まさにEMの時代の到来と言えます。

(2009年4月1日)
PROFILE
ひが・てるお/1941年沖縄県生まれ。EMの開発者。琉球大学名誉教授。名桜大学国際EM技術センター所長。アジア・太平洋自然農業ネットワーク会長、(公財)自然農法国際研究開発センター評議員、(公財)日本花の会評議員、NPO法人地球環境・共生ネットワーク理事長、農水省・国土交通省提唱「全国花のまちづくりコンクール」審査委員長(平成3年〜平成28年)。著書に「新・地球を救う大変革」「地球を救う大変革①②③」「甦る未来」(サンマーク出版)、「EM医学革命」「新世紀EM環境革命」(綜合ユニコム)、「微生物の農業利用と環境保全」(農文協)など。


 

 

 

469/1812市町村がEM活用(平成18年10月現在)

福井県旧宮崎村(現越前町宮崎)では、公共下水処理場の悪臭対策にEM技術を導入(上)/各家庭にもEM活性液をペットボトルに入れ無料配布(中)/処理場内の汚水の流れとEM活用法を説明する上坂環境衛生課長(当時)(下)

越前町に合併後も行政と町民が協力して様々な事業を展開

昨年8月に行われた、自然農法技術交流会〔主催:(財)自然農法国際研究開発センター〕で農水省・生産局農業環境対策課課長補佐の望月光顕氏がパネリストとして登壇した

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