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中米EMフェスタ

旧聞になりますが、6月18~19日にコスタリカのアース大学で卒業生のEMフォローアップ研修会をかねて中米EMフェスタが開かれました。ご存知の方も多いと思いますが、アース大学は中南米のトップの私立農業大学です。ノーベル平和賞を受賞したコスタリカの大統領を中心に、中南米の農業振興を目的とし米州中央開発銀行をはじめ世界中から基金を集めてつくられた大学です。

学生の大半は中南米各国で面接によって選抜され、十分な奨学金が与えられ、卒業すると農業現場の第一線に立つことを義務付けられています。中南米の農業の発展には、現場のリーダーを強化するに尽きるという結論から得られた方針ですので、卒業生が公務員になることは原則禁止となっています。

そのため大学院は設置されていませんが、教養のカリキュラムを含め極めて厳しいトレーニングが行われ、優秀な学生には大学スタッフ並の恩恵が与えられています。その結果、すばらしい教養を持ったリーダーが続々と誕生していますが、要は卒業生の活躍の場をいかに広げるかということに尽きます。

アース大学では持続可能な農業を中心に教育が行われていますが、EMが導入されるまでは有機農業が中心となっていました。1995年からEMの導入が始まり、EM研究機構から長期の客員教授も派遣し、EMの製造はもとより、様々な便宜を図っておりましたが、EMを信用している教授はホセ学長の他にタボラ教授など数人に過ぎず、大半の教授はEMをまったく信用していませんでした。

EMの成果はバナナの病害虫対策に顕著に表れ、頭痛の種であったバナナ残渣の悪臭対策と良質なボカシ肥への活用は、コスタリカのバナナ産業を一変させる力を持っていました。バナナはコスタリカの最大の輸出農産物であり、化学肥料や農薬の多用による弊害は著しく、世界的な有機農業や環境運動から厳しく指摘され、販路も経営も低迷状態になっていました。

EMはこのようなコスタリカの窮状を打開したばかりでなく、バナナの他畜産や水産を始め、水質浄化や種々の環境汚染対策にも活用され、コスタリカは中米のEMモデル国家となっています。そのため、アース大学の卒業生の大半がEMの専門家と目されるようになり、卒業後はEMの普及で各々の国の農業の発展に大きく寄与しており、極めて高い評価を得ています。

中米EMフェスタには、ホセ学長が日程を変更し参加してくれました。各国におけるアースの卒業生会はEMを軸により強固なものになっていることと、卒業生会からの母校の支援に感謝し、今後のEM発展に全力を尽くす旨のあいさつがあり、EMを軸とするアース大学のバナナやパイナップル、その他の有機農業の推進について自信あふれる話をしてくれました。

EM有機バナナの躍進

今回の発表でニカラグアにおけるEMによる石油汚染の対策をはじめ、環境とリサイクルに関する発表もありましたが、中心はEMによるバナナの黒斑点病(ブラックシガトカ)と線虫(ネマトーダ)対策でした。いずれもコスタリカのバナナ生産組合主導で行われて、EMは農薬よりもはるかに効果的で安く、しかも累積効果が高いという結論であり、これでコスタリカのバナナは救われたという組合長の談話もありました。

昨年、本連載にエクアドルの田辺農園のEMバナナについて書きましたが、当時200haであったEMバナナは、この1年間に1000ha余りに広がり、その大半が日本に輸入されています。日本でもようやくEMバナナが手に入るようになりましたが、世界のバナナがEM栽培に変わるのはもはや時間の問題となっています。

ペルーにおけるEMによる貧困農家の自立支援事業

中米EMフェスタを終わって、ペルーにおけるEMによる貧困農家の自立支援事業のモデル地区をまわる機会に恵まれました。ペルー北部の万年雪の山々をいただく標高3000メートル以上のワラス地区です。化学肥料や農薬の価格が数倍にもなり、貧しい地域は大変厳しい状況となってしまいました。その結果農業をやめ、都市部に多数の農民が流れ込み、膨大なスラムを形成しており、世界中で類似の問題を抱える国々が増えています。

当初はこの打開策として有機農業への転換を図ったようですが、ことごとく失敗し、貧困にさらに拍車をかけた結果となってしまいました。幸いなことにこのワラス地区にアース大学の卒業生夫婦がおり、EMによる貧困対策に大きな成果を上げていたのです。下肥を含め家庭から出るすべての有機廃棄物をEMで処理し、農業・環境・健康の問題を同時に解決するという救世主的と言われるまでに評価されています。

ペルーは全土に類似の貧困問題を抱えており、その対策として農業省の中に貧困農家の自立を支援する事業団が全国ネットで活動しています。ワラス地区でのEM活動は、国の事業団と二人三脚で活動するまでに広がっており、すでに40万世帯で実施済みとのことです。

ペルーを訪れた際にその事業団のトップの人々から、EM研究機構からの正式な技術支援を受けてペルー全土にEMを広げ、貧困や環境、健康の問題を根本から解決したい旨の申し入れがあり、現在、協定書を作成中です。

ペルーではワラスの大学と、フジモリ大統領が学長をしていた国立ラ・モリーナ農科大学で講演を行いました。土日にもかかわらず、多数のリーダーが参加し、多くの事例発表もなされました。中でもラ・モリーナのマエゾノ学長は12年前にわざわざ沖縄まで訪ねてこられ、ペルーにおけるEMの普及に協力を要請されましたが、時のいたずらで今日になってしまいました。ラ・モリーナ農科大学はペルーのNo.1の農科大学で、全土にネットワークがあり、各大学との共同研究も積極的に行っています。

マエゾノ学長は「とうとう比嘉先生が我が大学までやってきてくれました。こんな嬉しいことはありません。これでペルーの農業や環境問題はもとより貧困問題を完全に解決することができる。これからの指導、協力をよろしく」というあいさつをしてくれました。ワラスでの貧困農家自立支援事業団の成果を見ると、マエゾノ学長の確信は現実のものとなり始めています。

(2008年10月1日・毎月1日更新)
PROFILE
ひが・てるお/1941年沖縄県生まれ。EMの開発者。琉球大学名誉教授。名桜大学国際EM技術センター所長。アジア・太平洋自然農業ネットワーク会長、(公財)自然農法国際研究開発センター評議員、(公財)日本花の会評議員、NPO法人地球環境・共生ネットワーク理事長、農水省・国土交通省提唱「全国花のまちづくりコンクール」審査委員長(平成3年〜平成28年)。著書に「新・地球を救う大変革」「地球を救う大変革①②③」「甦る未来」(サンマーク出版)、「EM医学革命」「新世紀EM環境革命」(綜合ユニコム)、「微生物の農業利用と環境保全」(農文協)など。


 

 

 

 

アース大学のバナナ園

アース大学のパイナップル園

ペルー北部のワラス地区の畑

ワラスの農家の方たちと比嘉教授

ペルーのワラス農業大学で講演を開催

ペルーの国立ラ・モリーナ農科大学で講演する比嘉教授

国立ラ・モリーナ農科大学の方たちと記念撮影

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